人間、誰でもまったく意味のない言葉を叫んでしまうことがあるはずだ。
特に、天気のいい日曜の朝、
だらだらごろごろしていて、うーんっと伸びをしたときなんかに。
今日の私のそれが『ブリーポン』だった。
「『ブリーポン』って?」
と、ちづるが反応した。
普段だと、
「おい、ちょっと」
と呼んでも、冷凍のサバほども反応しないのに、
なぜか『ブリーポン』には食いついた。
ここで何か答えておかないと、ちづるの気分を害する。
そこで、とりあえず、
「心の叫びさ」
と答えておいた。
「いつもそんなことを叫んどるのか」
ちづるが尋ねる。
「そのとおり!」
私が答える。
日曜の朝の情報番組は政局を占っている。
これが退屈でつまらない。
だから、三重の片田舎のアホ夫婦は『ブリーポン』で盛り上がる。
「ワシは畑に行くごとに、穴を掘って『ブリーポン』と叫んどる」
「そうするとどうなる?」
「それを埋めておくと、そのうち『ブリーポン』が生えてくる」
「まさか、それをアタシに食べさせとるんやないやろな」
「ふふふ、実は毎日ちょっとずつ与えているのさ」
「なんやて!?」
「ふふふ『ブリーポン』を食べると、少しずつ『ブリーポン』になっていくのさ。
あんたは今、80%『ブリーポン』や。
100%『ブリーポン』になったら『ブリーポン』って呼んでやる。
ふはははは」
アホですいません。
こういうネタは、しばらく間を置いてから持ち出すと面白い。
ちづるが忘れたころに『ブリーポン』を出して笑わせてやろう。
そのためには『ブリーポン』を忘れてはいけない。
なにしろ意味がないのだ。
うっかりしてると記憶からすっかり消えてしまう。
「ブリのポン酢」だの
「ブルーリボン」だの
「プリンがポン」だの
さらに意味のない語呂合わせで、一生懸命記憶にとどめる努力をした。
さて、朝の情報番組が終わり、畑に行き、
草引きやダイコンの間引きをし、お昼に家に帰った。
汗を拭き、着替えてちょっと休憩。
買い物と昼食のため出かける。
車でしばらくたわいのない話をし、
ちょっと間があいたところでちづるに話しかけた。
心の中ではくすくす笑いが止まらない。
「ところで、なあブリーポン」
「なんや」
・・・なんや、ってあんた。
ホントに100%ブリーポンになってしまったのかああー!

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