最近、またときどき飲みに行くようになった。
とはいえ、あまりに長く飲みに行かない生活が続いたものだから、
生活のリズムが家バージョンになっていて、無理に腰を上げねば行けない感じだ。
いつもの居酒屋も〝いつもの”とは言えないようになってしまったかもしれない。
長い空白期間に、私の知らない常連さんも増えていた。
カウンターの入り口近くに色黒でフレンドリーな人が来るようになっていた。
来る回数も多いらしく、すっかり溶け込んでいて、私もすぐに話すようになった。
あるとき、この人がバイトの女の子に「ロキソニン持ってない?」と薬をもらっていた。
女の子が「どうしたの?」と訊ねると、
「膵臓の数値がすごく高くて医者に言われとるんやけど、薬忘れてきて…
このぐらいやったらロキソニン飲んだら大丈夫」
うわ、病気自慢の人だ。
こんなこと言われたら女の子は心配する格好になるしかない。
そしたらそこから細かい病気の説明が始まるのだ。
以前もそんな人がいて難儀をしたことがあったから気を付けよう。
予約電話が入ったからグループかと思ったら個人の人だそうだ。
なんでもたばこのにおいが嫌いだから、カウンターの一番奥のテレビ側の席に座りたいらしい。
特等席やないか。
もちろんそちらから席は埋まっていくのだから空いているはずがない。
つーか、タバコ嫌いなら居酒屋のカウンターに来ようとするな。
カウンターは、私と病気自慢の間が二席空いているだけだった。
病気自慢はタバコを吸うので、自然と私の隣が予約席になった。
やってきたのは体の大きな人で、ずっと敬語で話しながらものすごくたくさん注文する。
最後に玉子焼きの皿をひっくり返して「すいませんすいません」と謝りながら帰っていった。
居酒屋が向いてないのではないだろうか。
またもや電話、バイトの子が出ると今度はグループらしく、座敷を予約した。
私の隣の常連が「誰が来るの」と訊くと「○○さん」と答え、みんな知っているようだった。
厨房の奥から女将さんがバイトの子に声をかける。
「今の予約誰~?」
「ちんぴらー」
ちちち、ちんぴら?
従業員の間でつけられたあだ名が『ちんぴら』だと?
無条件でいややないか。
これをチャンスと店を出た。
住みにくい世の中になったものだ。
ま、帰って『なんでも鑑定団』が見れたからいいか。

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そしてこれなのね
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