先日、母が電話の子機に出られないという話を書いた。
母はこたつでテレビを観ていることが多いので、子機は母の席の真ん前に置いてある。
見守りカメラで見ていると、受話器を取るのだが、押すボタンがわからないようだ。
これは一度教えてこなくては。
と思いながら、実家に行くたびに確認するのを忘れていた。
それに、私もあの機械の使い方を知らないのだ。
ちづるに聞いたら、センターボタンの左下のボタンがそれらしいのだが、
受話器を外しているイラストがもう擦り切れているらしい。
それから実家に通うことさらに数回、そのことは忘れていた。
が、ある時何かのはずみで思い出した。
子機を手に取ってみるとなるほど擦り切れた受話器マークのボタンがある。
これにわかるように印をつけておくことにしよう。
私は赤マジックでそのボタンを塗って、白いセンターボタンに矢印を書いた。
母にそれを見せ、受話器を取ってこのボタンを押したら会話ができると説明した。
「わかった」
なのにこたつの電話は通じない。
やはり実地研修を行わねばならない。
土曜日にちづると実家に行ったとき、実際に私が電話を掛けてみた。
子機を母に持たせ、印のついたボタンを押させると呼び出し音が止まった。
「もしもし」
「もしもし」
これを繰り返すばかりで話が進まない。
母に訊くと何か言っているようではあるけど、何を言っているかわからないらしい。
ひょっとして右の耳が聞こえにくくなっているのか。
試しに反対の耳に当てさせてみたが、こちらの耳でも変わりがないようだ。
わかりにくいのは私が横にいるからだ。
私の生声が聞こえているから受話器からの声がわからないのかもしれない。
ちづるに「あっち行け」と言われて玄関わきの部屋に移動した。
それでも母には聞こえない。
試しにちづるが出たらちゃんと聞こえるのはなぜだ。
判明した。
母は子機の液晶部分を耳に当てていたのだ。
確かに子機は普通の受話器とは形が違う。
音の出るところは小さな穴がひとつあるだけだ。
これはわからなくても仕方ない。
とはいえ、今までずっとこれを使ってきたのに、なぜ急にわからなくなったのか。
理由はともかくわかるようにしなくてはならない。
音の出る小さな穴の部分に、赤マジックで『耳』と書いた。
このようにして、実家の家電は赤い部分がどんどん増えていくのだ。

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