やはり実家にもフライパンが欲しい。
行くたびにナスやピーマンや玉ねぎなんかを煮るのだが、
ナスやピーマンは焼く方がふさわしいこともある。
それに、煮物にすると母は汁まで全部飲んでしまうので塩分の摂り過ぎだ。
もともと実家にもフライパンはあった。
普通のフライパンと普通の玉子焼き器と小さい玉子焼き器だ。
しかしどれも古くてほこりまみれなので使いたくない。
比較的新しい普通の玉子焼き器を残して処分したのだが、やはりこれも使いたくない。
一つ安いのを買おうかと思っていたら、ちづるが、
「奥の棚にそれっぽいものがある」
という。
あるのならそれを使った方がいい。
ではそれを出して来るとして、問題はもう一つある。
キッチンには棚と洗い桶があるのだが、その両方が鍋でいっぱいなのだ。
フライパンを新たに置くと目立ってしまう。
私が毎回煮物をしているというのに、母はコンロが使えないと思っている。
何度も鍋を焦がしたりしていたので、ガスの元栓を止めるようにしたら、
「あのコンロはもうダメ」と思ってくれたようだ。
が、また環境が変わっておかしな気を呼び起こしてもらっても困る。
鍋をいくつか処分して、鍋の総量に違和感がないようにしたい。
幸いこの水曜がウチの金属ゴミ回収日だった。
では、月曜日に実家に行ったときにいらない鍋を回収してこよう。
ただし母に見つからないようにだ。
処分すると言ったら、母はどんなものでもうんとは言わないだろう。
月曜、仕事が終わってから実家に行ったら、母はタンスの部屋の椅子でウトウトしていた。
しめしめ先に鍋を回収してやれ、と思ったら目を覚ましてしまった。
「おお来てくれたんか」とゆっくり立ち上がり、出て来ようとする。
部屋の入口まで来たら、キッチンは丸見えだ。
私は機転を利かせた。
「もう日が暮れてきたから、雨戸閉めといて」
「あれっ、ほんと、もう暗いねえ」
その隙に、母が以前玉子を4個も煮て焦がした平たい鍋と、
使った記憶のない片手鍋、そして残っていた玉子焼き器を玄関に移動した。
帰るときにササッと車に積んでしまおう。
計画はうまくいったようだが一つだけ忘れていたことがある。
ちづるのいう、奥の棚のフライパンを確認することだ。
水曜日、朝、持ってきた鍋を収集所に出し、夕方実家に行った。
今度は覚えていたので、奥の棚を確認してみた。
ちづるよ、これは天ぷら鍋ではないか。

↑そのうちダイコンとサトイモの季節になって煮るしかなくなるんだけどクリックしてね。
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