11月1日はAりの送別会だ。
いつもの居酒屋の座敷で仲良しの6人で行おうと予約をお願いしたら、
オーナーや女将さんも参加を表明し、貸し切りにするとまで言い出した。
Mえの奮闘で、プレゼントやメッセージやケーキの準備も整った。
もちろん、サプライズなのだからAりにはないしょだ。
もう一人、ないしょになっている人がいる。
スキンヘッド1号だ。
やつの口は風船を付けたマシュマロより軽い。
「言ってはいけない」と言われると、ムズムズと口が緩んでくるタイプだ。
なのでみんなには「Aりよりも1号に知られるな」と伝わっているぐらいだ。
とはいえ、筆頭常連である1号を呼ばないわけにはいかない。
送別会があることは秘密だが、その日に別の予定を入れられては困る。
そこで、私が1号をだますことになった。
架空の企画をエサに誘って、その日の身柄をキープしておくのだ。
こういう時のウソはディテールがしっかりしていなくてはいけない。
何か質問されてオロオロしているようでは、相手が1号でもばれてしまう恐れがある。
そこで、こういう設定を考えた。
『いつもの居酒屋近くの焼肉屋の割引券を妻にもらったので坊主頭Fと三人で行こう』
割引券というのは我ながらよくできた作戦だと思う。
安く食べられるという誘惑があり、日にちも人数も限定できる。
当然他の人には教えられない。
三人いっしょに行かなければならないから、いつもの居酒屋で待ち合わせということにできる。
で、1号がいつもの居酒屋に行くと、会費を取られ飾りつけを手伝わされるという段取りだ。
この作戦はAりをだますのにも都合がいいことに気が付いた。
勘の鋭いAりをぼんやりしたMえが連れ出すのはばれる可能性が高い。
不信感を持たせずに、いつもの居酒屋に呼び出すのは困難だ。
そこでこれをMえのいいわけにも使うことにした。
『みんなで行きたいと話していたあのもつ鍋屋さん、
11月1日に行こうと思ったらこみたちは焼き肉に行くらしい。
なので私たちは二人で食事に行こう』
私と1号とFが焼き肉なら、送別会があるとは思うまい。
MえはどこかでAりと待ち合わせ、そのままいつもの居酒屋に連れてくればサプライズだ。
ただ一つだけ都合の悪いことがある。
焼き肉に行くことはないしょであるはずなのだから、それをMえが知っているのはおかしい。
どうにか私たちが焼き肉に行くことをMえが知っている理由が欲しい。
が、それは考える必要がなかった。
Mえ「1号が焼き肉に行くことを私にバラしたよ」
なんと口が軽いのだ!
肉を食べられないMえに、
「木曜日はお出かけや~、お前は食べられないもの食べに行かなならんわ~」
と言ったそうだ。
そしてMえが追及するとペラペラと。
まあ、ある意味初めて1号の口の軽さが役に立ったと言えるのかもしれないが。

↑Mえは「あのクセの強い常連たちをまとめるのは大変や」って言ってたけどクリックしてね。
スポンサーサイト
でもってはははははは
針千本!!お見事。
えっと、ハリくんは1号2号…ですか?