いつもの居酒屋のバイトAりは今月いっぱいで店を辞める。
今月いっぱいといっても、出てくるのはあと二回だ。
来月の頭には送別会をすることになった。
発起人はMえだ。
もちろんこれはサプライズなので、Aりにはないしょなのだ。
最初にしくじったのは夫婦で来店する常連だ。
MえがAりへのメッセージを頼んだのだが、別の常連さんに大きな声で、
「お前あのメッセージどうした?」などとしゃべったのだ。
Mえが、これはサプライズだからないしょだと口止めをしてあったにもかかわらずだ。
幸いこれはAりには伝わらなかった。
サプライズのことを知らないAりは、自分に関係ない話だと思ったようだ。
この件は私やMえが店に来る前の話だったので、情報は女将さんからだ。
それを聞いたMえは私を呼び出して怒りをぶちまけた。
次はスキンヘッド1号だ。
先週、Mえが常連さんにメッセージを頼み始めた時、ペンがないことに気が付いた。
その数分前、スーパーの方に向かう1号を目撃したMえは、
とっさの判断で1号に「マッキー買ってきて」と電話した。
が、『マッキー』を知らなかった1号は、オレンジ色の蛍光ペンを買ってきたらしい。
コレコレこういうことに使う、と説明したのにだ。
Mえに罵倒された1号は仕方なしにもう一度ペンを買いに出かけたのだ。
その話をAりがいる前でし始める1号。
1号がその話をし始めるのではないかと心配していたMえは、
事前に私に1号の隣に座るように指示を出していた。
その話をし始めたら頭をひっぱたくように言われていた。
案の定、意気揚々と「オレは買い物に行かされたー」と話し始める1号。
そのたびにわき腹に地獄突きをくらわし、別の話に誘導する私。
遠くからその光景を見てうなづくMえ。
そして、思わぬところから私もやってしまった。
Aりが私の横に座り、スマホの新しい機能を見せてくれたのだ。
なんだか写真に勝手に音楽やタイトルを付けてアルバム化してくれるらしい。
私は似た機能は知っていた。
顏認証で同じ人の写真をフォルダごとにまとめるやつだ。
Aりがそれを知らないというので私のを見せてやった。
私のスマホには、私とMえとAりのフォルダができている。
それを「見せて」と言ってAりが奪った。
しまった、そこにはAりの写真が大量に入っている。
MえはAりや常連の写真とメッセージをたくさん貼ったコルクボードをプレゼントする。
その写真をプリントアウトしに行ったとき、Mえのスマホには対応してなくて、
私のiPhoneに一旦写真を送り、それをプリントアウトしたのだ。
「懐かしい~」と言って自分の写真を眺めるAり。
その姿を遠くからにらみつけるMえ。
Aりが早番で帰った後、それはもう大変な説教を受けたのだ。

↑Aりが気付いてませんようにクリックしてね。
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ミッションが無事完了するかどうかとても楽しみやわ。