ああ、だるい、しんどい、眠い、動きたくない。
飲み過ぎたか夜更かしのせいか、運動のし過ぎかカロリーの少なすぎか。
いや、たぶんはるちゃんの電気椅子に座っていないからだろう。
一日の来場者数が目標を突破し、はるちゃんの電気椅子はめでたく延長となった。
はるちゃんは延長の準備のため一旦東京の本社に戻り、椅子は二日間お休みだったのだ。
一応説明しておこう。
はるちゃんの電気椅子とは、近くのスーパーにできた電磁治療器のお試しコーナーだ。
一ヵ月の期間限定だったのだが、一日の来場者数が180を超えたら、
さらに一ヵ月延長すると本社からのお達しがあり、
常連たちが知り合いに声をかけ、人をかき集めて目標をギリギリ達成できたのだ。
東京に旅立つ前、はるちゃんはこう言っていた。
「目標が達成できたので皆さんにプレゼントがありますー。
休み明けの木曜日、新人さんを連れてきてくれたら高級サプリメントを御進呈~」
なんと、その電気椅子メーカーが販売している体に良いサプリメントを、
新人と紹介者両方に一か月分ずつくれるというではないか。
なんという太っ腹。
しかしこれは大変だ。
なぜなら、延長を賭けた人集めで、知り合いは誘い尽くしている。
さらに今から新人となると、付き合いの薄い人に声をかけなくてはならないではないか。
さすが東京の企業、やることが適格だ。
こういうものに誘った時、人の反応は三種類だ。
嫌悪感を示す人、興味はないが付き合ってくれる人、健康になりたくて喜ぶ人。
この辺を見極めて声をかける必要がある。
平日だから仕事の関係もあるし、あまり遠くの人でも気の毒だ。
一番に思いついたのが、事務所のSちゃんだ。
彼女は私と終わる時間が一緒だし、住まいも市内、
若いしスラッと背が高くて美人だから連れていたら鼻高々だ。
とはいえ、この年齢差ではなかなかお願いしにくいのも当然。
いっしょに行くとなると、車に乗せていってもらわなくてはならない。
弟一家はそのスーパーから家が近い。
しかし弟はあまり興味を示さない。
姪っ子という手もあるが、若い女子は忙しいだろう。
それに来てもらうとなると、シュークリームぐらいは買ってあげなければならないだろう。
Mえの妹はどうかと思って、LINEが来たとき、それとなく探ってみた。
この春から勤め始めたので、残業はないか、仕事終わったらどこか行くのか、
そんなことを訊いていたら、Mえに「こみの態度がヘン」と泣きつかれた。
おそらくMえが連れていってサプリをもらうのだろう。
本社から配達のおっさんが来たとき、肩が痛いと言っていた。
なので電気椅子のことを教えてやったら「そりゃいいこと聞いた」と喜んでいた。
「この人は行きそうだな」と思ったがまだサプリのことは教えていない。
最悪この人を待ち伏せていっしょに椅子コーナーに入ることにしよう。
これで保険ができた。
さて、誰か一緒に行ってくれる女子はおらんかな。

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しかもデッサン完璧。
パチパチパチ。
あとは明日のダウン絵がどうなっているかだな。