「ちょっと一緒に来てもらえるかな」
と店長に言われた。
なんぞ事務所でお話でもあるのかなと思いきや、誘われたのは配達だ。
市内のとあるケーキ屋さんに包装紙を届けに行こうよというのだ。
普段なら配達は店長がしてくれている。
大物になると、本社の配達班に任せる。
しかし、この仕事はちょっと事情が違うのだ。
まず量が多い。
サイズは全判、つまりB4サイズの9倍の者が250枚で7包み。
それを6つに切ったものが1000枚で6包み。
トータルで150kgを超えようという物を二階に運ばなければならない。
店長は腰が悪いのだ。
で、なぜ本社に任せないかというと、そうすると本社の売り上げになってしまう。
外注で印刷して作った包装紙、金額は10万を超える。
これをみすみす本社に差し上げる必要はない。
なにしろ社長は、本社はどうだ、店舗はどうだと売り上げにうるさいらしい。
数字だけを見てそれを言われるので、店長はこれを渡したくないのだ。
外に出ている方が気が楽だ、などという人もよくいるが、
私は自分の住みかでコソコソ仕事をしている方が好きな性質だ。
他所に出ていったり、お客さんと話をしたりする仕事は嫌いなのだ。
しかも行くのは店長と二人、気が楽になるはずがない。
だからといってお断りもできず、ひさしぶりの外出となった。
配達先に着いたら、けっこうハードなことがわかった。
荷物を置くのは自宅部分の二階、だから階段が狭くて途中で曲がっている。
これを何往復もするのはめんどくさい。
普段から腕立て伏せをしている私は2包みずつ担ぐ。
いいよ、店長は1包みずつで。
全判の後は6ツ切りだ。
もう店長には受け取りをしに行ってもらい、私が運ぶことにした。
サイズが小さくて持ちやすいから3個ずつ肩に担ぐ。
私なんかベテランでコツを知っているからホイッと肩に……
いかん!
予想外に包みが滑りやすかった。
肩に乗せたタイミングで一包みがずれた。
これを落としたらアウトだ。
落とす前に体を低くして、自分の体を犠牲にしてでも商品を守るのだ!
私は地面に寝そべる形になったが、商品は守ることができた。
寝そべっているところを店長に見られたが、それぐらいなら問題はない。
何とか起きあがって二階に運ぶ。
これで配達終了だ。
車に乗って気が付いた。
ズボンのヒザが破れている。
体勢を低くしようとしたときヒザを着いたのだ。
しかもすりむいて血が出ているではないか。
すりむいたヒザ、懐かしい感触だ。
絆創膏を貼っているが、そこから水分が出てきて床やふとんにくっつく。
剥がれるときがちょっと痛い。
これも懐かしい。
でも、あちこちが汚れるので困っている。

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怪我してヨカッタっていってるんじゃないのよ。
グキッといっちゃったかと心配したもんだから絆創膏程度で済んだと読んでホッとしました。
…えっと、膝がその位置ということはとっても脚がみじか…ゴホゴホ