誰が言ったかは知らないが、
形のあるものはいつかは壊れる運命にある。
なるほど、それはなんとなく理解できる。
しかし、モノには順序があるのだ。
たとえばボールペンの場合、
まずはインキが詰まって書けなくなる。
あるいはキャップを失う。
ノック式の場合は、バネがどこかへいく。
うっかり踏んづけて真ん中から折れた、なんてのは不慮の事故だ。
掃除機の場合、
吸引力が落ちてくる。
コードが戻らなくなる。
音がやかましくなってくる。
いきなり逆流なんてのは不良品に決まってる。
では『傘』はどうか。
傘というのは案外もろい。
丈夫さよりも軽量化に重点が置かれたためだろう。
一番多いのは「骨が折れる」ではないだろうか。
あとは、引っ掛けて破る、
杖の代わりにしていて曲がる、
そのあたりだと思う。
ところが私の傘、握りが壊れた。
傘の『し』というか『J』というか、逆『?』というか、
ともかくその部分だ。
傘の中でももっとも壊れにくい部分のはずだ。
私は機械の横にかけていた。
上司Tが通るとき邪魔だったのかちょいと横にどけた。
そこは機械のへりだった。
そのあと、稼動した機械に運ばれていき、
気がついたときには労災状態。
ぶら下がっているはずの傘が斜め上を向いて、
「ぴきぴきぴき~」とジャングル黒ベェの弟みたいに叫んでた。
はさんだ機械の名は「ジャッカルギロチン」
稼動させたのは上司T。
太くて立派な木製の握りは、ぺきぱきにつぶされて、
黒塗りの間から白い中身が見えていた。
今、その傘は握りにビニールテープを巻いて使っている。
なにしろ、握り以外はしっかりしているのだ。
それにしても不本意な破損。
それもこれも、区長が悪いのだ!
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最後まで使い切ったときはものすごい充実感を味わってしまいます。
まぁ、小さいことなんですが…。