先代林家正蔵が弟子たちとテレビを見ていた。
カビの生えるメカニズムを特集していた科学番組だ、
どうして生えるんだろうね、などと弟子たちが話していると、
「お前たち、どうしてカビが生えるか知らねえのか」
「師匠はご存じなんですか」
「早く食わねえからだ」
今年の初もったいないをやってしまった。
もらった餅にカビを生やしてしまったのだ。
もちろん(餅だけに)正月に実家でもらった餅ではない。
正月休み前にちづるが会社からもらってきたやつだ。
どうしてそんなことになってしまったのか。
早く食わなかったからだ。
だって正月になったら雑煮まみれになるのがわかっている。
どうして暮れから餅にとりかかろうなんて考えるだろう。
それもこれも、日本人がせっかちになってしまったのが原因だ。
ハロウィンが終ったら2か月も前なのにクリスマス一色に染まる町。
年を越したらひな人形とランドセルを押し押ししてくる百貨店。
冬には五月、春には夏休み、9月には正月の予定を迫る旅行会社。
エイプリルフールでもないのに嘘ばっかりついているタヌキオヤジども。
だからいろんなことが狂ってくるのだ。
クリスマスケーキを食べたすぐ後に誰が餅を食う。
しかも紅白の丸餅だ。
なんの祝いだ。
ちょうど家庭が大掃除の事案で殺気立っている時期ではないか。
そのような不安定な立ち位置にいる餅は、袋に入れて冷蔵庫の隅に追いやられる。
これが致命的だった。
暮れもギリギリになるとスーパーは大混雑になる。
正月のかまぼこやだて巻きとともに、それまでの生活の食材も買い込む。
母親を買い物に連れていったとき、ついでに買ってもらったりもする。
もちろん(餅だけに)餅もある。
家の雑煮用、大みそかに神宮で焼いて食べる用の餅。
毎年実家が5キロも買う餅のおすそ分けもある。
そんなわけで、中途半端な時期に手に入った紅白餅は、
どんどん冷蔵庫の奥に押しやられていって、
ついには弁当用味付け昆布よりも後ろに行ってしまっていたのだ。
会社が始まる前に見つかったのは奇跡といってもいいだろう。
ちょっと待てよ。
この4日間、朝食は雑煮だ。
昼は…、夜は…、去年の暮れは…、
おいおいおい、もうずっと白いご飯を食べてないぞ。
最後の出勤日の朝は二日酔いだったから、26日の朝が最後なのではないか。
ああー、白いごはん食べたい。
日本人の心、ソウルフード、銀シャリが食べたいのだー!
でもカップ麺も食べたい、カレーパンも食べたい、ギョーザ食べたい。
こりゃ、正月明けからダイエットというのは無理かも。
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アトリエから出てきたんじゃ…ないよね。