ともかく最低限やっておかなくてはならないのは、
玄関先でビロビロ伸びきっているキューリとゴーヤの苗を植え付けることだ。
もちろんほかの夏野菜も植え付けたいのだが、
ツルモノだけは早くしないとお互いが絡み合ってしまってえらいことになる。
畑に行って、ひたすらクワで溝を掘る。
溝じゃない部分が畝だ。
私をなんとか熱中症にしてやろうとガンガン照りつけるお日様の下、
ビーチパラソルと氷のうのおかげで、倒れることなく四本の畝ができた。
そのうちの一本に水道管の支柱を打ち込み、
海苔養殖用のネットを張って、受け入れ態勢は万全だ。
しかし、こんな炎天下に苗を植えたりしてはいけない。
熱でやられてしまわないように、夕方植え付けに来ることにしよう。
植え付けだけなら、短パンTシャツゴムぞうりでOKだ。
お昼にそうめんを食べて、テレビを見ながら昼寝して、読みかけの本を読みながら仮眠していた。
目が覚めたら雨が降っていた。
うおーなんちゅうこっちゃ、苗を植え付けなくてはならないのにー。
と思ったが、はたと気がついた。
雨が降っているのなら好都合ではないか。
むしろ土が乾燥している方が具合が悪い。
ポンチョを着て、ほほいっと植えてこよう。
で、すぐに行けばよかったのだが、植え付けは夕方、という気持ちだけは残っていて、
そのまま家でゴロゴロし続けていた。
ふと気がついたらもう四時だ。
そして土砂降りになっていた。
とりあえず苗を持って畑に行った。
もちろん、短パンTシャツゴムぞうりだ。
それにポンチョをかぶって畑に一歩。
とぷぬちよん。
一気にくるぶしの上まで沈んだ。
午前中には砂漠だった畑が湿地帯へと変貌している。
いや、これは田だ。
とりあえず、最初のゴーヤを植え付ける。
そのとなりへ移動・・・できない。
まるで自分が植えつけられたみたいだ。
バランスを崩して、ネットにもたれそうになる。
私はツル植物ではないのでネットに巻きつくわけにはいかない。
だれだー、ツル動物って思った奴はー。
足が抜けなくて二歩目に進めない。
これはいかん。
無理に足をぬこうとすると、ゴムぞうりの鼻緒が切れるバターンだ。
諦めて裸足になり手で探ってゴムぞうりを救助する。
さらに一歩、足の指のあいだを泥がぬぬぬぬぬと通り抜けていく。
気持ちはいいが気色は悪い。
ああ、油圧ってこういう事なんだな、などとわけのわからない感慨に浸る。
いやいや、植え付けを続けなくては。
ちょっとかがんだらポンチョが水溜りに浸かった。
そしてそれを踏んでしまう。
前にこけそうになって両手をついてしまった。
うわー、肘の手前まで沈んだー
もうその頃には前進泥まみれだ。
遠目には「田んぼを返せー」って妖怪が暴れているように見えたのではないだろうか。
ピーマンまで植えたところでギブアップ、トマトの植え付けは中止だ。
土砂降りの中、用水で水を浴びる。
シートにビニールを敷いて家まで運転して帰る。
庭で足を洗う。
玄関で短パンとTシャツを脱ぎ、唯一濡れていないTシャツの背中部分で足を拭き風呂場へ。
午前午後で凄まじいレベルの洗濯物が山盛りだ。
もちろんちづるにはとても怒られたのであった。

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どんな感じなのかとてもよく分かります。
幼いころ(ココ協調)、手伝った田植えがそんな感じだったわ。
踏ん込ん(ふんごん)でしまって抜けないのよね。
(※「踏ん込む」とはぬかるみにはまり込んでしまい、
脱出しようとしてもできない状態の意味。
ネットで調べると三河弁と出るけど、伊勢でも同じ状態の意味で使うぞ。
ちなみに国語辞典で「踏み込むに同じ」とあるけど、そんな生易しい状態じゃないぞっと。)
桜田淳子が田植え機の宣伝で
白い綺麗な長靴はいて田植え機押して田圃の中を歩いている映像に
「あんな長靴はいて田植えできるか。長靴取られるやろ。」
と伯父さんが突っ込みいれてましたわ。