新しいパソコンが欲しい。
買うにはお金が必要だ。
お金はない。
見るだけならタダだ。
よし、見に行こう。
こうして某大手電機店に行った。
目指すは一体型デスクトップだ。
ああ、ステキ。
これならキーボードをモニターの下に入れて、ペンタブレットが広々と使える。
ところがとても気にい要らないことがある。
どれもこれもテレビチューナー内蔵なのだ。
私はパソコンでテレビを見ることはない。
録画もしない。
決して使わない機能にどうしてお金を払えようか。
となりの列はノートパソコンの売り場だった。
安い。
今の私のよりはるかに高性能のものが8万円ぐらいである。
テレビチューナーが入ってないのだ。
こうなったら目指すはノート型だ。
そんな風に鼻息ふんふんやっていたら、
耳が尖って矢印型のしっぽを持った店員がすすすと近寄ってきてひひひと笑った。
「夏モデルが発売されたから春モデルがとてもお買い得になっておりますよ」
なるほどそうか。
そういえば似たようなのが二台並んでいるのに、一方だけがやたら安い。
店員は歯茎をむきだして笑いながら、さらに私の耳元で囁く。
「アベという男がインフレを狙っているので、今後モデルチェンジ時でもこんなにお安くはなりませんよ」
確かに言われてみればそうだ。
この店員よりももっと悪辣な奴らが無理やり物価を上げようとしている。
今こそがチャンスなのかもしれない。
「さらにフレッツ光にご加入頂けますと、ポイント還元キャッシュバックが・・・」
それはいらん。
見るだけのつもりで来たが、悩ましい事態に陥ってしまった。
8万円なら安い。
しかし、私のパソコンは二台目ブラックくんも、三台目ホワイトさんもまだ動いている。
とはいえ、万が一の事態が起こったら、中に入っているデータがパーだ。
元気のあるうちに保険には加入しておいたほうがいいのではないだろうか。
さらに悩ましいのが、このお店には知り合いがいるということだ。
「店の割引の方が安い時もあるけど、そうじゃなかったら社員割引で買ってあげるよ」
と言われている。
ただ、今が最高割引、つまり底値なのではないか。
だとしたら、社員割引してもらうよりお得なはずだ。
でも、そう言ってくれてた人に黙って買うのは気が引ける。
ひょっとしたらその人の成績に関係があるかもしれない。
とりあえずその人に連絡をとることにした。
その人は、スナックのママ子さんの友達だ。
つまり私とは歌仲間ということだ。
ただし、私は本人のケータイのアドレスは知らない。
ママ子さんと連絡を取ったあと、しばらくしてからママ子さんからメールが来た。
その人がカタログを持って店に来てくれたので、それをまた取りに来いということだ。
では早速もらいに行こう。
となると、8時までは時間を潰さなくてはならない。
店に行ってカタログだけもらっていくわけにもいかないだろう。
こうして、買うかどうかもわからないパソコンの値段はどんどん上がっていくのだった。

↑最初におすすめしてくれた店員さんもクリックしてね。
スポンサーサイト
今でしょ。
決断を伸ばすともっと経費が掛かるよぉ。
どこで買うか。
知り合いがお勤めのお店でしょ。
…他のお店を覗いたりしないこと。
悩みが増えるよ。