数年前、私の両親が家に来た時のことだ。
母が突然お願いがあると言い出した。
「台所にある“ずくし”を食わせてくれ」
どうぞどうぞと勧めると、大喜びでズルズルすすっていた。
他所でどういうかは知らないが“ずくし”とは熟して柔らかくなった柿のことだ。
皮は濃いオレンジ色になり、ぶよぶよしている。
この間までウチにあった“ややずくし”をお見せしよう。

裏返して指で割ってみた。
これはまだ形があるほうだ。

ずっとずっと昔、近所で遊んでいると、渋柿の木にずくしを見つけた。
落ちる寸前の線香花火みたいにとっぷりしている。
よくぞカラスに盗られず、ここまで熟したものだ。
これが甘かった。
“ずくし”は普通の柿よりずっと甘い。
これが嫌いだという人がいる。
たとえばちづるは
「はなみずみたい」
といって食べない。
腐っているようなイメージがあるのかもしれない。
しかし、私の経験から言うと、柿は腐らない。
自然に割れてしまうまでは食べられる。
中身が半液体ぐらいにまで熟すと、少しアルコールっぽくなるが大丈夫だ。
上司Tは、あんまりどろどろはいやだけど食べる、と言っていた。
O川は、皮が手でむけるから食べるそうだ。
あとの人はほぼ食べない。
なぜだろう。
“ずくし”は店では売られていない。
天然モノで、肝臓にいい。
柔らかくて、糖度が高い。
渋柿のものなら無農薬で栽培できる。
しかもヘルシーで、もちろんB級だ。
ほら、こんなにも日本人の好きな要素が入っているではないか。
食べなさい食べなさい。
鐘が鳴るから食べなさい。

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