通勤途中、ポケットからサッと取り出す懐中時計。
ではなく万歩計だ。
ただし、何歩歩いたかを見ようとしているのではなく、
今何時か、見ようとしている。
あっ、薄い。
万歩計の画面のことである。
液晶の文字が薄い。
電池が切れてきたようだ。
交換しなくてはならない。
それにしても、電池ってやつはいつからこんなにややこしくなってしまったのだ。
私が子供のころは電池は四種類だった。
単一、単二、単三とその他の特殊な電池だ。
ちなみに“その他の特殊な電池”というのは、
百科事典に載っているのを見ただけで、実物にお目にかかったことはない。
単一、単二、単三。
なんて簡単な分類だろう。
他にないのだから、一、二、三でもよさそうなものだが、
あまりに簡単すぎて“単”をつけたのだろうか。
「電池がなくなったから買ってきて」
なんて母親に言われて近所の電気屋さんにおつかいに行き、
「単一が大きかったんだっけ?
それとも単三がおおきいんだったっけ」
なんて迷っても、電気屋さんで見ればわかったものだった。
それが今の電池界の複雑さはどうだ。
件の万歩計、入っているのはボタン電池だ。
すべすべした金属の板に、何かでひっかいたように数字が書いてある。
これを覚えておかないと、新しい電池が買えないのだ。
携帯用のペンライトが点かなくなったので、電池を出してみた。
なんと、ビーズみたいな小さい電池が四つも入っている。
これを四つにする必要があるのか。
四つ分で一本にしろや!
なに、三つでいける場合もある?
三つでいけても、四つ分で一本の電池にしろや!
それだけ分小さくしてどうする。
『ちびろく』か!
サイズだけの問題ではない。
普通の単三電池だと思ったら、充電できますよ、などと言われたりする。
何百回も充電できるのだ。
便利でお得なような気がするが、これはコンセントから出てくる電気を、
充電器という蛇口を通して、電池という水筒に入れているようなものだ。
整理してみよう。
電池は小型化し、そのおかげで電気を使う道具自体が小さくなった。
小さい電池でも長い間使えるようになった。
ひとつの電池を繰り返し使えるようになった。
電池業界は進歩したつもりでいるのだろう。
しかし『電池を買う』という観点から見てみよう。
電池は種類が増えた。
分類の仕方がアルファベットと数字で覚えにくくなった。
書いてある文字が小さくて見にくくなった。
充電できるので買いに行く機会が減った。
大中小から選ぶだけだった電池が、
メガネをかけてメモを取って英語を話さないと買えなくなったのだ。
こんなにあからさまに不便になったジャンルが他にあるだろうか。
これは絶対に『退化』だ。

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早速コメントありがとう
あれはステンドグラスです
すぐ書き込んでおきました
こみさんにコメントで書いていただいて良かったです
書き込み忘れでした
ありがとう
電池私もよく分かりません
父は出張が多いので母と困っている事が多いです
もっと分かりやすくして欲しいですよね
結構深刻ですよ
リモコンの電池だってエアコンやテレビや色々形違うしね