『寿限無』という有名な落語がある。
子供が長生きするようにと、縁起のいいもの、限りのないものを、
すべて名前につけてしまい、その長い名前のせいで騒動が起こる噺だ。
その名前というのが、
『じゅげむじゅげむごこうのすりきれ・・・」
と始まる。
『じゅげむ』とは『寿限無』
つまり『寿限り無し』という縁起のいいものだ。
ではその続き、『ごこうのすりきれ』とは何だろう。
これは『五劫の擦り切れ』と書く。
むかし、十里四方という大きな岩があり、
三千年に一度、天女が舞い降り、羽衣でこの岩を一回なでる。
こうしてこの岩が擦り切れてなくなるのが一劫。
それが五回分で『五劫の擦り切れ』だ。
なんと果てしのない話だろう。
一年ほど前、私は電気ひげそりを買った。
たまっていたポイントも使ったのだが、
7000円というのは私にとって破格の大盤振る舞いだ。
十年以上使った先代が壊れてしまったのだから仕方ない。
使ってみるとさすが新型。
すごく気分よくヒゲが剃れる。
しかも水洗いもOKだ。
これはいいものを買ったな、と思った。
ただ、私は電気ひげそりという機械自体には何の興味もない。
できたらもう買いたくない。
なので、珍しく「こいつを大事に使おう」と考えた。
そのためには、大っキライなメンテナンスが必要だ。
説明書を読むと、別売りのオイルを使えと書いてある。
それを使うことで、機械が長持ちし、切れ味が滑らかになるというのだ。
幸いまだポイントの残りがある。
さっそく翌日買いに行った。
私はヒゲは毎日剃らない。
皮膚が弱いのですぐヒリヒリするのだ。
なのでひげそりを使うのは三日に一回ぐらいだろうか。
剃ったヒゲは毎回捨てているが、ホントは付属のブラシで掃除をしなくてはならない。
でも、出勤前の慌ただしい時間帯にそんな余裕はない。
ブラシを使うのは月に一度ぐらいだろうか。
水洗いとなるとさらにめんどくさい。
洗うのはザブザブでいいのだが、乾燥させなくてはいけない。
ヘッド部分を分解して紙の上に並べて干す。
この手間がイヤで、水洗いは買ってから二度しかしていない。
乾燥したら組み立てる。
ここでオイルの出番だ。
ヘッド部分の中心に一滴。
そしてスイッチを入れると、勝手にオイルが全体に回るのだそうだ。
このオイル、ボトルは小さい。
50ml入りだ。
しかし、一年で二滴・・・
オイルを使いきる前に、ひげそりが擦り切れてしまうのではないだろうか。

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