カウンターの大皿に盛られていた“ブリ大根”を注文して、生ビール。
ブリが半分ぐらいになったとき、以前から気になっていたメニューを注文した。
『べーとま腐サラダ』
ご想像通り『ベーコントマト豆腐サラダ』の省略形だった。
いや、量も多いしとてもおいしくて何も文句はない。
でも、『豆腐』を省略して『腐』だけにするのはどうだろう。
メニューの中に『腐る』という字。
しかも画数が多いので、この字だけやたら大きく目立っている。
こんな風なこの店のセンスが、好き。
日替わりメニューの黒板を見つめていた。
しばらくその恰好で固まっていると、女将さんがカウンター越しに、
「何か?」
私は疑問をぶつけてみた。
「あの、日替わりメニューにある“永谷園”ってなに?」
「あははー、そうでしょー」
どうやら私は引っかかったらしい。
女将さんはウキウキだ。
「えーとねー、土瓶蒸しみたいなものです~」
以前も書いたことがあるが、この店には妙なメニューがある。
“棒棒鶏(バンバンジー)みたいなの”
“回鍋肉(ホイコーロー)みたいなの”
ここに新しい“みたいなシリーズ”が登場したのだ。
引っかかったからには、注文してみなくてはなるまい。
「初オーダー、ありがとうございます~」
「おまたせしました~」
たいして待っていないうちにモノが出てきた。
確かに土瓶蒸しとは違う。
だって、これは“急須”じゃないか。
土瓶は“つる”を持ってぶら下げるものだ。
でも、これは横に立派な握りがついている。
「百均にこれしかなかったんです~」
百均て言うな。
もちろん土瓶蒸し用のものではないから、おつゆを飲むおちょこは全然別モノだ。
色も柄も質も肌触りも全く共通点がない。
ま、食べ物は容れものではない。
肝心なのは中身だ。
ふたを開けて具を確認。
鶏肉、シイタケ、ミツバ、
おお、ギンナンまで入っている。
そしてもうひとつ、形は残ってないが私にはわかった。
永谷園の『マツタケのお吸い物』だ。
女将さんの方を見る。
彼女もこちらを見ていた。
にこりと笑った。
OKサインを出した。
どうせ酔っぱらいが食べるのだ。
器とキノコは違うが、まさにマツタケの土瓶蒸し。
お値段350円。
座敷の4人組が大声で、
「おーい、“永谷園”ってなんや?」
女将さん、私を指して、
「今、こちらの方が召し上がってます~」
と紹介された。
私は、芝居っ気たっぷりに、
「これはおいしいですよ~、皆さんもどうぞ」
すると女将さんが大慌て。
「あーダメダメ~。これ百均に四つしかなかったんです~」
百均って言うな!

↑松茸、秋刀魚、柿、栗ックしてね。
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ナンチャッテ具合がとっても良いわ。
お口にも心持ちにもその「永谷園」おいしかったでしょ。
一度食してみたいと切に思いましたわ。飲まないもんでその手のお店にとんと疎いのですけど、「どこなんだろ~、なんて言うお店なんだろ~」激しく気になりまする。