母はときどき極端な表現をすることがある。
簡単な言葉で物事を大げさに言うのだ。
例えば『ちんちん』
これはお湯が沸いた状態を表す。
確かにやかんなどでお湯が沸騰していたら『ちんちんに沸いたお湯』と言えるだろう。
これを母は飲んでいるお茶に使う。
「このお茶、ちんちんで飲めん」というから水でうめてやると、
「まだちんちん」と言う。
食べているものが硬いと『かんかん』だ。
私のイメージでは『かんかん』と言えるのはコチコチに凍ったものだ。
それが母の使い方は、自分の歯で(入れ歯だが)噛み切れないと『かんかん』らしい。
「このいなりずしのあげ、端っこがかんかん」
いくら何でもあげがカンカンってことはないと思うのだが、
昨日ののり巻きはごぼうとキュウリとニンジンがかんかんだったらしい。
天気がいいと『がんがん』だ。
真夏の照り付ける太陽だと『ガンガン照り』と言ってもいいと思うが、
母は真冬の上天気でも『がんがん』と言う。
使い方はこうだ。
「今日はいい天気やねえ」
「うん、がんがん」
実家は日当たりが悪いので、よく日の射すときはそういいたくなるのかもしれない。
先日、母のあごにちょっとひげが生えていたので剃ってやった。
「ちょっとさわってみ」
「てんてんや」
母はつるつるに剃ってある状態を『てんてん』という。
ある日、実家に着いた私がニット帽を取ったら母がこういった。
「あれ? あんた、てんてんやね」
違う。
間違っている。
私の頭は決して『てんてん』ではない!

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