私は人形、かわいい人形。
お腹を押したら「寒い」と泣くの。
今週はいろんな「寒い」から始めさせていいただいています。
なにしろそれ以外の感情が出てこないものだから。
会社での挨拶も『おはよう』+『寒いね』が鉄則になっている。
しかも寒さの度合いが気になるらしく、みんな比較でモノを言う。
「昨日よりも冷えるね」or「昨日よりはまし?」だ。
何事においても微妙な差を読み取ることのできない私は、
今日が昨日より寒いのか暖かいのかわからずに適当な返事をしてしまう。
徒歩出勤の火曜日には「ポンポコポンになるから」と来て行かなかった会社支給のジャンパーを、
水曜日は車出勤だったので着て行った。
なにしろ体を動かしていない朝はポンポコポンでちょうどいい。
しかもトレーナーはハイネックにした。
仕事が始まって体が温まってきたら、動きにくいジャンパーは脱いで掛けておいた。
昼休みにはまたこれを着る。
カップ麺と魚肉ソーセージのお昼を済ませた後、機械の裏の秘密基地に籠る。
折りたたみディレクターチェアの背後にダンポールを立て、
足元には電気ストーブ、テーブルから私のあごに向かっては大きなボール紙が橋渡ししてある。
これでストーブの熱を逃がさず、長い胴体を温めようというのだ。
木曜日は徒歩出勤だったが、ちづるがジャンパーを着て行けという。
確かに朝は体が温まっているからいいだろうが、その後ジャンパー無しでは辛い。
ジャンパーを着る代わりに、作業服を畳んでリュックに入れた。
全部着ると会社に着いた時汗をかいているだろう。
これが冷えるのが一番よくない。
そしてこの日の昼休みには湯たんぽを導入した。
体温やけどにならないように気をつけながら、下腹を温めている。
お腹は確実に前日より暖かいはずなのだが、何か物足りない気がする。
はっ、エアコンを点け忘れているではないか。
でもこの姿勢に入ってしまったらもう動きたくないのであきらめる。
昼休みが終ったらジャンパーは脱ぐ。
そのかわり、仕事の準備をしているふりをして、シャッターあたりで日向ぼっこをする。
なんだかんだでこれが一番暖かい。
日が当たり、風の当たらない位置でのろのろと何かをする。
作業服の色が紺だから、日光で暖まりやすいはずだ。
夕方になるとジャンパーを着る。
日が暮れてくるとますます冷気が私の足を伝って登ってくる。
機械の足元に移動したストーブ前から離れられない。
私が震えていると、30分早く帰る小柄子ちゃんが手を洗いにやってきた。
「昨日よりまし?」
どこがましなのだ。
何事においても微妙な差を読み取ることのできない私でも昨日より寒いとわかるぞ。
と、言おうとして気が付いた。
昨日は腰にカイロを貼っていたのだ。
衣類にばかり気を取られていて、防寒具を忘れていたではないか。
よし、今日は回路を貼っていく。
だから車で出勤しよう。
そして朝ドラが始まるまで仮眠をするのだ。

↑書き忘れてたことを後で足したら長くなってしまったけどクリックしてね。