居酒屋に行くのは難しい。
特になじみの店に入るのが困難だ。
常連たちはみんな、カウンターのどこに座るか、に頭を悩ませている。
私はなるべく早い時間に行く。
カウンターに誰もいなければ、一番奥から2番目に座る。
本当は一番奥がいいのだが、そこは前に調味料やら飾り物やら熱燗用の杯やらがあって、
中の女子とコミュニケーションをとる邪魔になるのだ。
私が先に座っていたら次に来た人の座る場所が決まる。
仲良しなら私の左隣(奥から三番目)
顔見知り程度なら一つ空けて、それ以外は2席ぐらいは空けて座る。
つまり私が二番目に来た時は、先客によって座る場所が変わるのだ。
仲良しがいたらその隣、顔見知り程度なら一つ空ける。
もし先客が二人いたら更に困る。
この二人がくっついて座っていたらどちら側に座るか。
これで私がどちらの客を好いているかを宣言するようなものだ。
一つ空いているときは間に座ればいい、というものでもない。
もちろん、その二人が仲良しとも限らないし、
他が空いているのに狭いところに割り込むなんて、よほどの仲良しでないとできない。
2人ともが仲良しならグイグイ割り込んでいく。
なぜなら、両側が決まっているという状態は安心できるからだ。
自分の片方、あるいは両方の席が空いているとき、
誰が隣に座るかは私が選ぶことができない。
私があまり好きでない人が来たら、あちらも私を好きでないように祈るしかない。
もうひとつ、両側が空いていたら、できたらいやなやつは左に座って欲しい。
右の奥にテレビがあるから、観てるふりをして背中を向けることができるからだ。
先客が二人いて、間が二つ空いているときは本当に困る。
間に座るにしても、その二人に優劣をつけなくてはならなくなる。
間を避けてどちらかの隣に座ったとしたら、反対の人に嫌ってる宣言をしたも同然だ。
両方から席を開けて座ったら、もはや三人とも他人ということだ。
先客が三人いて一つ置きに座っていたら更にややこしい。
説明は必要ないだろう。
で、私はひとつの作戦を利用している。
店に来ている率の高いスキンヘッド1号の隣を優先するのだ。
ともかく私は1号の隣に座ると常連たちに周知してもらえたらこっちのものだ。
1号だってそうなっていた方が楽なのだろう。
あとから来た時は必ず私の隣に来る。
ちなみに私だけがこんなことで悩んでいるわけではない。
女将さんをはじめ、中の女子たちは、この座り順で客の仲良し度を計っているのだ。
これに寄って何かを察し、来なくなってしまう人もいるぐらいだ。
それぐらい、席順問題は常連にとって重要視されているのだ。
では、今回の講義はこれでおしまい。
次回は『カウンターに若い女子の二人連れが来た場合』です。

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