今さらだが、
鼡径ヘルニアとは重力によって下がった腸が腹筋と腹筋の隙間からはみ出すことで、
治療はその隙間にネットのようなものを当て、腸が出ないようにするものだ。
手術は2種類あり、下腹部を切開して筋膜の外側からネットを当てる方法と、
腹腔鏡を使って腹膜の内側からネットを当てる方法がある。
私はあまり痛くないという理由で、腹腔鏡手術の方を選んだ。
こちらはへそとその左右に2センチほどの穴を開け、
ガスでおなかを膨らませてカメラとマジックハンドみたいなものでネットを当てるらしい。
痛くないとはいえ、腹を切って内臓をいじるのだからそれなりの痛みはある。
痛みと違和感は3種類ある。
お腹を切った傷口と、ネットを入れたところ、
それと、これまでずっと安定していた腸が腹膜と引っぺがされた違和感だ。
腹腔鏡手術を受けた経験のある人に聞いていたのだが、内臓が動くのがわかるのだ。
寝返りをうとうとすると、下になった方に内臓が下がっていくのがわかる。
この3種の痛みのせいで、私のお腹にはまだシールが貼ってあるし、動きがスローなのだ。
それでも手術から1週間、徐々にその痛さも薄れてきた。
心配なのは筋力の低下だ。
腹圧のかかるような運動は禁止だが、体は動かした方がいいと手術翌日から言われていた。
歩くのが一番、と言われ、ナースセンターの周りをヨチヨチと歩いたものだ。
自宅に戻ってからはそれさえもしていない。
よし、ちょいと外を歩いてこよう。
体が温まり、血が巡った方が自主治癒力も上がるはずだ。
ウチの近くで歩くのに良いところといえば、河川敷の堤防道路だ。
だったらそのまま畑まで行ってみよう。
野菜の育ち具合も気になっているところだ。
私は久しぶりにパジャマを脱ぎ捨て、外出着に着替えた。
靴下も帽子も久しぶりだ。
寒いかもしれないから、ベストを着て手袋も持った。
玄関を出て鍵をかけ、ビニールハウスの間を通って堤防に向かう。
BGMは自宅療養中に取り込んだ『WANIMA』だ。
堤防に上がるところまで来たら謎の機械が働いていた。
どうやら土手の草刈り後に、刈った草を下の道路に落とす機械らしい。
キャタピラとはいえ土手をすごい斜めになっているのに運転手が乗っている。
前の方の回転する部分が草をすくっては下へとばす。
こんなのを見るのは初めてだが、よく考えてみたら平日なのだ。
世間では普通に仕事が行われているのだ。
堤防をずんずん歩いていくと、河川敷で一輪車の練習をしているおじさんがいた。
ジャケット姿で、車につかまって乗っては、チャレンジを繰り返している。
平日なのに何をしているのだ。
ゆっくり歩いたので畑まで30分かかった。
おお、ダイコンもコマツナも十分収穫できそうだ。
レタスやミズナ、ジャガイモも大きく育っている。
あとで蒔いたダイコンは間引きをしなければならないぐらいだ。
しばらく畑を観察した後、同じ道を通って家に帰る。
ピッタリ1時間だった。
畑にいた時間を考えると帰りは少しスピードアップしたようだ。
お腹が減ったので、ごはんに生卵を落とし、焼きそばを乗せて昼ご飯にした。
んー、なんだかだいぶ健康になってきたような気がする。
さて、今日はどこに歩きに行こう。

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