私が通勤している店舗の裏には小さな畑がある。
小さな、とは言っても、土地だけなら私の畑よりは断然広い。
ただ、農家さんがトラクターでガーッとやっていくような農地ではなくて、
おばあちゃんが自転車でやってきて世話しているようなささやかな菜園だ。
だから土地全体ではなくて、3分の1ほどが耕されている感じだ。
ウチの会社がそこに店舗を建てた時、その土地も一緒に買わないかという話があったらしい。
しかし、わが社にその財力は無く、今は一部分だけを駐車場として借りている。
一時期はそこの遊んでいるところに簡易倉庫ができたり、
どこかの建築屋さんが砂置き場にしたりしたが、どうやら期間限定だったようだ。
そのおばあちゃんが野菜作りを辞めてしまった。
体のぐあいが悪いのか、めんどくさくなってしまったのか、
あるいは店ができて影になってしまったからなのかもしれない。
ともかく、世話をされなくなった畑の心配は、あとに生える雑草だ。
このままだと確実に荒れ地になる。
そこで私に声がかかった。
この土地で野菜を作ってみないかというのだ。
なかなか面白い話ではないか。
仕事場の隣が畑なら、暇なときに草を取ったり、ササッと種を蒔いたりできる。
畑道具だって置きっぱなしにしておける。
が、仕事中はやっちゃダメだという。
それならやっとれん。
機械もないのにこの広さ、今の自分の畑だけでも世話をしかねているのに。
最大のメリット『仕事の合間に畑作業』封じられたのでお断りした。
休みの日に会社になど来たくないわ。
とはいえ、このまま放置するわけにもいかない。
で、店長が考えたのが、花を植えるという作戦だ。
花がたくさん咲いていたら多少草があっても気にならない、ということらしい。
ふふふ、そんな甘い考えが通用するかどうか、高みの見物と行こうではないか。
店長は、あまり植物の知識がない。
店舗ができた最初の春、裏の砂利のところにチューリップを植えていた。
ヒョロヒョロに育ってなんとか花が咲いたが、
その後掘り返した球根がいまだに倉庫の隅っこに置いてある。
そんな店長が選んだ花が、パンジーだった。
私はコスモスだとかレンゲなんかの種をバーッと蒔くのかと思っていたが、
ホームセンターで10株ほどの苗を買ってきて植えただけだ。
もちろん、畑の一畝にも満たない。
しかも、耕しもせずに植えてある。
「焼け石に水やな」
おっしゃるとおりだ。
それでも気になるらしく、やたら見に行っては世話をしているようだ。
仕事中に!

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