あるとき、『カップル』だか『アベック』だか、つまり仲の良い男女のことを、
『アベック』だか『カップル』だかと、つまり世間とは逆の言い方をしてしまい、
「ええ~、今どきそんな言い方する人いるの~?」と、
つまり、その言い方は時代遅れだと笑われたことがあった。
よくあるカタカナの言葉だと、我々おっさんにはどちらが今の呼び名なのかわからないのだ。
『エアコン』と『クーラー』もそういった単語のひとつだ。
どうもテレビなどを見ていると、傾向としては『エアコン』の方が有利だが、
いまだに『クーラー』も健在、という感じではないだろうか。
だったら、恥をかかないうちにどちらが今風か、決定しておいてほしい。
そしてそれは、涼し気な方を選ぶべきだ。
となると断然『クーラー』有利ではないだろうか。
なにしろ『エアコン』エアーをコントロールするためのものだ。
冬になったら暖房として使われることもある。
リモコンでドライだとか送風だとかの切り替えをしていると、
一旦『暖房』のところを素通りしなくてはならない。
この一瞬で小数点以下“0”の続くごくわずかな数字かもしれないが、
ちょっとだけ温度が上がったのではないかと疑ってしまうではないか。
その点『クーラー』は潔い。
クールにするもの、つまり、涼しくするための機械だ。
涼しいオンリーのアイテムなのだ。
なんとなく二つの『-』が風鈴のひものようにも見えてくる。
ひょっとしたら『○ー○ー』という言葉は涼しいものしかないのではないか。
『ヒーター』
前言は撤回しよう。
ところで先ほどうっかり暑苦しくも『暖房』という熟語を使ってしまったが、
だとしたらもちろん『冷房』も考えられる。
我々日本人にとって、漢字は一文字でその意味を伝え得る優れた意思伝達手段だ。
この『冷』という字が、灼熱の日本列島にする人々にどれだけ勇気を与えていることか。
だのになぜ『冷房』なのか。
どうして『房』なのか。
この文字は細いものがいっぱい集まっているイメージだ。
どちらかというと暑苦しい系の感じだ。
先に『暖房』という言葉ができ、その反対語として『冷房』が生まれたのではないだろうか。
では『冷』の字と、先ほどの『○ー○ー』の法則を混ぜてみてはどうだろうか。
『冷ボー』
いかん、涼しい感が『冷房』よりも『クーラー』よりも劣る。
そうだ、『クーラー』と『エアコン』に漢字を当てはめてみよう。
雑な考察だが『クーラー』に当てはまる漢字はなんとなく涼しげだ。
『蔵ー』『暗ー』『く恨ー』どれもコレもひんやりしている。
それに引きかえ『エアコン』は全然都合のいい感じが浮かばない。
不愉快だ、暑苦しい、オチにならない。
そんなわけで、この夏は『クーラー』で統一することに決定した。
うっかり『エアコン』って言ってしまった人は焼きゴテの刑ね。

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