ある日、本社から1パレットの紙が届いた。
パッと見で300kgぐらいだろうか。
サイズも種類も色も柄もいろいろだ。
紙屋とか印刷屋には必ずこのような半端紙が大量に残っている。
社長がときどき片づけをしては「店で何とかしてくれ」と持ってくるのだ。
ただ、今回の山には恐ろしい張り紙がしてあった。
『5月分』
ということは、6月になったら次のが来るということか。
一ヵ月のうちにこれを処分しないと、加算されていくシステムなのか。
これを持ってきたО川に訊いたら、少なくとも来年の1月分までできているそうだ。
まだ以前持ってきた分も置いてあるのに。
あとで社長がやってきて説明を受けた。
なにやら新しい機械が入るので、その場所を開けるために片づけをしたらしい。
これらはもはや死に在庫なので、どう処分してもいい。
多少でもお金になれば儲けものなのでよろしく、ということだ。
よろしく、と笑顔で去っていく社長が気楽なものだが、
これらに場所を占拠される我々はたまったものではない。
店長と奥さんと三人で相談したが、安売りしてしまうしか手はないとなった。
なにしろ古い物なので、正規品と混ぜて売ることはできない。
まず、種類別に仕分けだ。
切っただけで売れるものはA4サイズにして店に渡す。
色物柄物の珍しい紙は10枚百円で店内で売っている。
残りからハガキサイズが取れたら、それも店に渡す。
ネット注文の商品に「こんなのもありますよ」とサービスとして入れて送るのだ。
コピー用紙として使える紙は事務所で使う。
もっと小さい白紙はメモにしてお客さんにサービスで渡す。
厚手の紙は、荷物を贈るときに底に敷いたり、筒にして隙間に詰めたりする。
薄くて色の付いた紙は、3ミリほどの幅に切って、贈り物に詰める紙パッキンにする。
あとは得意の百円ワゴンだ。
色紙はメモ。
画用紙、書籍用紙は表紙をつけてお絵かき帳。
薄い和紙は書道の練習用。
それ以外の物は適当なサイズにして、セロファンで包んでそのまま並べておく。
早く処分したいので、一包み、一冊の量が今までの倍ぐらいにしてある。
ある意味、超お買い得バーゲン中なのだ。
それでもなかなか減ってはいかない。
なので商売をしている友人におすそ分けしたりする。
社長からは「最終的に捨ててもいい」と言われているのだから横領ではない。
しかも、「これをやる」と言って無理矢理持って行くのだ。
そしてそれを恩に着せて、はるちゃんの電気椅子に誘うのだ。

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