私が買ってきた二つのお総菜。
一つは小エビの唐揚げで、もう一つはちょっと珍しいアサリの唐揚げだ。
パリパリ小エビとねっちりアサリ、どちらも海の物だがタイプが違う。
揚げ物+揚げ物なのも、カブッたのではなく、唐揚げ二種盛りとしてチョイスしたのだ。
軽くチンして、食卓へ。
あと二品ほどのおかずとビールを用意して行儀よく「いただきます」
私がアサリを、ちづるが小エビのパックを開ける。
ここで二人のパックにあからさまな違いが現れた。
どちらも本体とふたが一体になったプラ製のトレイだ。
二つ折りにしてパチリと止めてある。
コーナーにある「ここから開けて部」でパチリを外すと開く構造になっている。
もちろん私もちづるも同じようにパチリを外した。
ところが、この手のトレイには蝶番部にクセがある。
私のアサリトレイはパチリを外したとたん、ピョーンと勝手に開いていった。
なのにちづるの小エビトレイは手で開けても戻ってくる。
私のが「どうぞ食べて」と料理を勧められているのに対し、
ちづるのは「誰がやるか」と拒絶されている感じだ。
これも日頃の行いの差であろう。
とはいえ、ふたをされてしまっては私も食べることができない。
今日のお品書きは『海鮮唐揚げ二種盛り』なのに。
ふたは箸ぐらいのものは跳ね飛ばして戻ってくる。
なんとかこのふたを開いたままで固定することはできないか。
ここで私がひらめいた。
小エビトレイの開いたふた側にアサリを入れてしまえばいいのだ。
考えてみればふたは食卓ではただの邪魔ものだ。
ふたにアサリを入れたら重しになるだけではなく、スペースが半分で済む。
その方がいかにも唐揚げ二種盛りのように見えるではないか。
ちづるは心配していた。
食べ進むにつれ、重みが減っていったら突然ビョーンとふたをされるのではないかと。
ハエトリソウか。
おそらくそれまでには蝶番部がヘタってきて、開いたままになるのではないか。
プラスティックとはそういうものだ。
小エビは香ばしくておいしいし、アサリの唐揚げってなものもなかなかいいものだ。
テレビを観ながらビールを飲んでいると、いい気持になって設定を忘れていく。
あっ、小エビが最後のひとつだ。
これをちづるにやるわけにはいかない。
私の箸が忍者のように小エビをかすめ取る。
びょーん。
この時になって気付いたのだが、
アサリのトレイのふたに小エビを移したらよかったのではなかったのか。
後悔食前に立たず。

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