例えば年末、
「今年はお世話になりました」
「来年もよろしくお願いします」
「良いお年を」
という挨拶は順番にやってくる。
これは、その年最後に会う時の挨拶だ。
毎日会う同僚と、月に一度来る業者さんでは挨拶のタイミングが違うのは当然だ。
もう今年は来ないよ、という業者さんに初めてこの挨拶をされた時、
ああいよいよ押し詰まってきたのだなあと年越しを意識し始める。
それと同じようないよいよ感が始まった。
あの忌まわしの行事、バレンタインデーだ。
これも2月14日当日に会えるとは限らない。
いや、女子は当日には本命に会いたいはずだ。
だから義理チョコは、むしろそれ以前の適当な日に手渡される。
金曜日、今年の初義理チョコをいただいた。
いつもの居酒屋に行くと、常連のご夫婦の奥さんがみんなのチョコを用意してくれていた。
まとめ買いして、来る常連に女将さんが配ってくれるようだ。
まあ、それまでに会えるかどうかわからないのだから当然だが、
もはや義理というより業者に近い感じがする。
土曜に実家に行った。
親父を病院に連れていき、その間に母に買い物をさせる。
店内を一回りし、レジに行く段になって母がなにか思い出した。
「そやそや、チョコレートを買わな」
母はとても縁起かつぎだ。
しなければならないことは何でもする。
冬至にはカボチャを食べたし、お風呂にゆずも入れる。
クリスマスにはケーキを食べたがるし、ちゃんと七草粥も作る。
先週行ったときには恵方巻が残されていた。
わざわざすし屋に配達してもらったのだそうだ。
昨日はスキヤキの鍋が用意されていたので、
「肉好きやな~」と言ったら、
「2月9日は『肉の日』やもん」だそうだ。
だからどうやらバレンタインにはチョコを買わねばならないと思っているらしい。
私は臨時に作られたチョココーナーに連れていかれた。
田舎の小さなスーパーだから品ぞろえもささやかなものだ。
母はそこから私と弟にウイスキーボンボンを、親父には普通のを選んで買った。
帰るとき、私の分のチョコを手渡された。
親父にはもちろん当日渡すのだ。
カレンダーを見ながらなにやら考え込んでいるので、
「14日、水曜日やで」
と教えてやった。
すると母は、
「仏滅やけどなあ」
“聖”の付く日だぞ。

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