私とAりはパン友達だ。
このように『○○友達』というくくりを作ると女子と仲良くなりやすい。
ちなみにQちゃんとはカラオケ友達だし、Mえとは公民館友達だ。
「なんとやらしいやつだ」などと居酒屋の常連に誹謗中傷されることもあるが、
そのぐらい言われたって女子と仲良くできる方がうれしいに決まってる。
そもそもはパン好きのAりの話を聞いているだけだった。
彼女は中に何も入っていなくて、硬く歯ごたえのあるパンが好きなのだそうだ。
それで、身近なパン屋で硬いパンを買って、居酒屋で食べ比べをしたりしていた。
圧倒的ごはん派の私だが、そんなことをしているうちにパンが好きになってきた。
で、昼食にパンを食べる回数が増えてきたのだ。
今では安定期に入っている。
あちこちを買い歩くのではなく、Aりのお気に入りの店、私のなじみの店が決まり、
いろんなパンを買っては食べ比べている。
やはりチーズやらクルミやらレーズンやらが混じったパンも食べてみたい。
さて、ある日このいつもの居酒屋にAりのお友達がお客としてやってきた。
このお友達を気に入ってしまったのがⅩ氏だ。
そう、あの「Mえちゃん大好き、結婚して」と言っていたなよなよ男だ。
噂によると、そのお友達の席ににじり寄るような積極的行動に出たらしい。
このお友達、なんとパン屋さんに勤めている。
しかも、そのお店が私の家と会社の中間にあるのだ。
ただ、お友達であるはずのAりがこの店のパンが好きでない。
おいしくないのではなくて、あんぱんメインの具入りパンが多く、
具のないパンも柔らかいからなのだ。
それを聞いた私はこう考えた。
「よし、Ⅹ氏より先に仲良くなってやろう」
あれだけ「MえちゃんMえちゃん」と騒いでいて、そんな移り気があるか。
なにしろ、パン友達のAりの友達で私の通勤途中にお店があるのだ。
仲良くなれないはずがない。
幸い私は昼食が定まっていない。
魚肉ソーセージも切らしていたので都合がいい。
この日も徒歩出勤、5分ほど早く家を出て、そのパン屋に寄ることにした。
レジにはアニーのようにボーイッシュでかわいい女の人がいたが、
なんだか話に聞いていたのとイメージが違う。
名札も付けてなくて確認ができないから話しかけにくい。
ローテーションがあるかもしれないのでまた違う日に来てみよう。
それはいいとして、パンだ。
なんとうまそうなパンたちなのだ。
なにしろここのところ具のない硬いパンばかり夜に買っていた。
具がたっぷりで色鮮やかで柔らかそうなパンたちが、焼き立てでホカホカ並んでいる。
大好きなカレーパンをトレイに乗せた。
ずっしりとしている。
これ一個でおなか一杯になりそうなのに4個も買ってしまった。
翌日が祝日だから朝食にすればいいや。
そしたらちづるもパンをもらって帰ってきたというお話。

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