足腰・目・喉・傷の治りに肌・耳・毛根、年とともにいろんなものが衰えてきた。
もちろん脳も例外ではなく、我ながらボケてきたような気がしている。
『ボケ』という言葉を使っちゃいけない、それを言うなら認知症。
などと言われるかもしれないが、さすがに認知症という年ではないから『ボケ』を使う。
認知症には『若年性』ってのもあるらしいが、若年というほど若くはない。
どっちやねん。
朝出勤してタイムカードを打ったら、まずぞうりを靴に履き替える。
機械のモーターを回してラジオ体操をし、機械のテーブル面を拭く。
コーヒー用のお湯を沸かし、スマホを確認し、伝票を見る。
シャッターを開けて、コーヒーを淹れ、時間が来たらワゴンやノボリを出す。
そこまでやって仕事を始めるのだが、気が付いたらまたラジオ体操を始めていた。
月木か月金か火金か火土の間隔で腕立て伏せをしている。
いつも仕事が片付いた夕方だ。
いきなり始めると体に悪いので準備体操をする。
腰回し、横曲げを各100回ずつと腕肩伸ばしだ。
なのに気が付いたらラジオ体操を始めていた。
そんなにラジオ体操が身についているのかというとそうでもない。
頭の中であの音楽を口ずさみながらやっているのだが、
店長の奥さんにちょっと話しかけられたらもうアウトだ。
どこまでやったかわからなくなり、音楽と体操が食い違う。
どうかすると新体操をしていたりする。
新体操ってリボンや輪っかを使った競技の事じゃなく、新しいオリジナル体操のことだ。
人との会話どころではなく、ほんのちょっとした衝撃でリズムを見失う。
「ハイ」と返事をするだけでも、ラインの入った音にスマホを振り向くだけでも、
くしゃみをするだけでも、何もしなくても。
蚊を叩いただけでも、ラジオ体操の流れはどこかに飛んでいく。
蚊と言えば、蚊が叩けなくなってきた。
これも衰えの影響だろう。
叩こうと思っても目が、特に遠近感が追い付かずに見失う。
ロックオンしても、叩くのに腕が動くまでに時間がかかる。
下手をするとバックスイングをどこかにぶつける。
どうして蚊ごときにかなわないのだろう。
それは蚊が若いからだ。
蚊というのはそんなに長生きしない。
ついこの間までボウフラだったようなやつらなのだ。
しかも血を吸うのはメスだけなのだそうだ。
それを栄養にして卵を生もうというのだから、繁殖期真っ盛りの若者だ。
放っておけばお腹がパンパンに膨らむまで血を吸う。
私の脂っこい血をあんなに吸うなんて、カルビだけで焼き肉食い放題を終えるようなものだ。
若くなければそんなことはできない。
そうか、蚊は若い女子だったのだ。
なるほど私に叩けるわけがない。
MえやAりを見てみたらわかる。
あんなにつかみどころがなく、いつも翻弄されているではないか。

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