いよいよ、ついに、本当の本当にナスが終了した。
畑のナスが台風18号で倒れ、その時に収穫した冷蔵庫のナスを検品した。
もうほとんどがシワシワで食べることができない。
それ以前に表面は傷だらけになっていた。
選り分けて何とか食べられそうなのが数個。
それも悪いところを切り落としてのことだ。
形がそろわないので適当に一口サイズに切って水にさらす。
先の方は種も目立つようになってきていた。
これを手羽先と煮ていただいた。
ナスにはいろんな切り方がある。
子供のころ母は輪切りにしたナスをよく油いためにしてくれた。
野菜なんかより断然肉という世代だったが、油を吸ったナスは大好物だった。
あの年頃、他にショウガ醤油で食べるものなんかあっただろうか。
味噌炒めにするときは縦に割ってからかまぼこ型に切る。
みそ汁だったら、適当な長さにしてから縦にスライス。
焼きナスにするときは一切切らずに丸ごと焦げるまで焼く。
さすがはエッグプラント、切り方のバリエーションが豊富だ。
しかし、食べ応えがあるのはやはり縦半分に割った形だろう。
これを網で焼いて味噌を塗って田楽風にするとか、
油で焼いて麺つゆを掛ける焼きびたしとかたまらない。
ただ、このように大きく切る場合は、皮に工夫を施さなくてはならない。
ナスの皮は丈夫だ。
そのままだと口に残って不愉快な思いをすることがある。
だから我が家のナスのように傷が多いものだと、その傷を取るように皮をむく。
縦に一本、ちょうど半割のナスに白いラインが入ったようになる。
見た目もよくなるし、裏返した時によく油を吸ってくれる。
これぞナスというデザインだ。
もう一つの手段は、ハモの骨切りのように表面に細かく切れ込みを入れる方法だ。
これがまたなんだかカッコイイ。
目が細かければ細かいほど美しくて、ショウガ醤油もよく浸みる。
更にカッコいいのが縦横にこの切れ込みを入れる方法だ。
こうするとナスにうろこができたようになり、
揚げびたしにでもしたら光を乱反射して宝石のようにきらびやかだ。
私はこれに憧れている。
ナスの表面は野菜界でも飛び抜けて美しい。
濃い紫に陶器のような張りと艶。
これを台無しにしてしまってはいけない。
下手をするとうろこ状になった皮がところどころ抜け落ちてしまう。
歯抜けになったウロコはみっともない。
これを完全に実行するには三つの要素が必要だ。
素材となる美しいナス。
皮の抵抗に左右されないよく切れる包丁。
そして垂直に、等間隔に正確に包丁を入れる腕だ。
そんなわけで、今年もこの切り方はできなかったわい。

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