スマホというのはとても便利なものだ。
だから仕事にも使えるし、ヒマつぶしにも、サボタージュにも使える。
私は職場に一人なので、たまにブログを確認したり天気予報を見たりする。
そうはいってもいじるのはほんの数秒だ。
いわば“チラ見”程度だ。
が、ちょいと恐ろしいうわさが流れてきた。
我が社は合併やら何やらで3か所に建物が分かれている。
3棟ある、というのではなく、車で移動しなければならないほど離れている。
なぜかタイミングが悪く、私は合併後他の二ヶ所に行ったことがない。
そのうちの一ヶ所で、社長がいないときにスマホゲームしていることがバレたらしい。
社長はたいそうご立腹で、そこでは勤務時間中のスマホが禁止になった。
私はそんなことを言われてはいない。
元々ゲームなんかしないし、スマホに入ってもいない。
しかし、社長にスマホをいじっているところを見られるのは具合が悪いだろう。
だから、スマホを使う時はストーブの前にしゃがんで使うことにした。
私の仕事場は寒い。
しかも手が冷たくなるので、ストーブに当たっているのは大目に見てもらえる。
冬用の大きなジャンパーを着ているから、丸くなっていたら後ろからではわかるまい。
社長は足音をたてずに早足で歩くのでこのぐらいの注意が必要なのだ。
ストーブに当たっていたら、ちょいとスマホが見たくなった。
どうせそんなに仕事はない。
ちょっと見てみよう、と思ってポケットに手を入れた。
私はジャンパーの左内ポケットにスマホを入れている。
このポケットが結構深いので取り出すには苦労する。
会社から支給されたこのジャンパー、けっこう安物らしくあちこちがほころんで来た。
中でもダメージが大きいのがこの内ポケットだ。
内ポケットには、あの「バリリ」と不愉快な音を立てるマジックテープがついている。
物が落ちないための工夫なのだろうが、これが強力過ぎるのだ。
それをバリリとやってスマホの出し入れをしていたら、ポケットの裏地が破れてきた。
ちょうどマジックの取り付け部が、裏地と表地の境目になっていて弱いのだ。
毎日スマホの出し入れをしているうちに、何やら糸が絡みついてくるようになってきた。
気が付いたら謎の出入り口ができてきた。
ついに裏地が避け、別ポケットみたいになってしまったのだ。
そこに落ち込んでしまったのか、正規のポケットにスマホがない。
外側内側から手探りでスマホを探す。
なんだか四角くて硬いものを発見したが、どこからとりだしたらいいのかわからない。
これは外の胸ポケットに入っている手帳だと判明した。
裏地と表地の間に落ち込んだのなら、裾の方まで遠出している可能性がある。
下の方に固いものがあった。
通勤中に握力を鍛えるグリップだった。
いや、本当に見つからない。
ひょっとして、うっかり下に着ているベストのポケットに入れてしまったのか。
いや、ない。
癖で一番使いやすい右腹ポケットに入れてしまったのか。
いや、ない。
一番頻繁に出し入れする前掛けのポケットか。
いや、ない。
もしかして、どこかに落としてきたのか~
充電中でした。

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