最近、懐にスプーンを持っている。
金属製で先端が少しフォークになっているやつだ。
今までは仕事場のマグカップとセットになっていたのだが、
これ単独で常に持ち歩くことにした。
右のおなかのポケットに、風呂敷の間に挟まっている。
こいつの仕事は忙しい。
今まで通り、マグカップでインスタントコーヒーを飲むときは粉をすくう。
二日酔いでしじみ汁を飲むときは混ぜる係だ。
事の起こりはお昼だ。
休憩室でおにぎりと汁物をいただく。
この汁物なのだが、カップ麺の時はそのまま容器を捨てられるからいいのだが、
お椀でスープをしたときは洗わなくてはならない。
どうして大事な昼休みに食器を洗ったりしなくてはならないのか。
以前は木のお椀を持っていた。
チベットのお坊さんが、箸とお椀と布を常に持っていて、
お粥をいただいたあとお茶を飲み布で拭いておしまい、ってのをテレビで見た。
なんとコンパクトな生活か、と感銘を受け、ちょっとマネをしたのだ。
が、やっぱり木のお椀はコンパクトでない。
いろいろ探して、百均でプラスティック制のお椀を買った。
でもプラスティック製のものは匂いが着くのだ。
やはり洗わなくてはならない。
で、気が付いたのが、ときどき丼弁当に使っていたシリコン製の器だ。
折りたたむことができ、しかも汁漏れのしないフタがついている。
これこそ現代版懐用お椀にふさわしい。
何が言いたいのかわからないだろう。
つまり、食後は洗わずにそのままふたをして、
昼休みが終わって職場に出てきてから洗おうというのだ。
これで私が昼休みに洗い物をしなくて済む。
その食器の相方がこのスプーンだ。
今休憩室では分割式の箸を使っているが、もちろんこれも洗いたくない。
このスプーンとシリコン食器が、チベットでのお椀と箸にあたるのだ。
ちなみに布は、タオルと風呂敷と手ぬぐいを二本常に持っている。
さて、もう一つ常に持ちたいと思っていたものがあった。
箸置きだ。
いつもの居酒屋ではかごのようなものにお手拭きと箸が出てくるが、
これをいつまでも置いておくととてもジャマだ。
なのでそれは返してしまって箸置きに箸をおいていた。
その箸置きは私の持ち込みだったのだが、どこかへ行ってしまったらしい。
代わりのを持ち込んでもいいのだが、きっと保存が迷惑だと思う。
それで店に行くとき自分用を持っていようと思ったのだ。
これをこのスプーンで代用できる。
スプーンを箸置きにすれば、カーブがあるから転がっていきにくい。
それにいざという時はスプーンとしても使えるではないか。
更に更に、本当は行きたくないカラオケに無理やり連れていかれようとして、
相手の押しに負けてしまった時などは、匙を投げることもできる。
フグを食べるのにスプーンフォークは似合わないと思うが。

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