夕方から雨という予報を聞いて車で出勤した。
信号のタイミングさえ良ければ最速4分台の道のりだ。
ゆっくり家を出ても早めに到着してしまう。
と、まさに会社に入る信号で渋滞が起こっていた。
どうやら事故があったらしい。
この道路は3車線で、この信号を過ぎたら1車線減る。
私は左折するが、この一番左の車線をピューッと来て、
車線が減る手前で右に割り込もうという輩が多いのだ。
あとで聞いたら、事故の原因もそれだった。
前が詰まっていたので信号手前で右2車線の車が止まり、
右折車を行かせたところ、ピューッと来たやつとぶつかったらしい。
どちらが悪いかなんてことは私には関係ないが、
車が派手に壊れている割に、運転手がどちらも元気なのが幸いだ。
会社前に花など飾られたら怖いではないか。
それはいいとして、わが社の社員の出勤はややこしい。
社員駐車場は縦一列なので入れる順番が決まっているのだ。
出勤してくる順番は、私、Sちゃん、お肌ツル子ちゃん、口数多子で、
帰る順番は、口数多子、私、Sちゃん、お肌ツル子ちゃんなのだ。
そんなわけで私とSちゃんはいったんお客さんの駐車場に車を停め、
お肌ツル子ちゃんが車を入れた後、口数多子が来るまでに移動させる。
これを忘れていると、口数多子が帰るときにまた車を移動させなければならない。
が、今日はまさに会社の真ん前で事故をしている。
私が出勤してきた時点ではまだ警察も来ていなかった。
事故たてほやほやだったのだ。
私がいつもいったん車を停めていたのは、事故の真ん前。
さすがにちょっと気が引けて、離れたところに車を停めた。
たいてい、事故というのは人の注目を集めるものだ。
通って行く車の人たちはじっくり眺めていくだろう。
ところが、事故現場にはどんどん関係者が増えてくる。
まず警察が来て、ウチの駐車場をちょっと使わせてほしいと言ってきた。
そのうち保険やさんが来て、身内が来て、車やさんが来る。
ウチの会社の従業員より事故関係者の方が数が多くなってきた。
だから私たちが車を動かそうと出ていくと、逆に事故関係者の注目を浴びる。
じろじろ見るのも気の毒な、と思っていたらじろじろ見られる側になっている。
こちらがスイマセンという感じで車を動かさせていただいた。
店長と奥さんは車を動かさなくていいので出てこない。
だから、警察の人も事故の人も、私のところに「ご迷惑を」とやってくる。
私は別にかまわないのだ。
店を開けるのも9時だし、そんなに朝早くからお客さんが来る店でもない。
ただ、私の役割として、店ののぼりを立てなくてはならない。
そここそが、事故車がきゅるると停まっている場所なのだ。
私は事故を見ているのではないのだ。
事故が片付いたらのぼりを立てたいので、早く片付かないか見ているだけなのだ。
レッカー車が二台目の車を運んでいってやっと片付いたころ、
予報よりやや早く雨が降ってきた。
ああ、昨日の雨でぬれたのぼりを、ちょっとの時間でも干したかったのに。

↑どちらも低姿勢でもめなかったようなのでクリックしてね。