さて、水曜日だ。
いつもならいつもの居酒屋に行ってはいおしまい、なのだが、
この日はバイトが休みのMえ主催のハンバーグの会がある。
用事があると言って不参加を表明している私だが、状況がちょっと変わった。
それは実家からの電話だった。
火曜日、いつの間にか入っていた親父のケータイからの着信履歴。
休憩時間にかけ直してみた。
「山形の親せきからサクランボが届いたので取りに来ないか」
むふ、こいつはありがたい。
サクランボはおいしい上に、誰にあげても感謝される。
しかも、それを取りに実家に行っていたと言えば正当な理由になるではないか。
でも、実際は取りに行くのは面倒だ。
ましてや今は放課後畑作業週間なのだ。
実家に、火曜日は行けないというと、
水曜日に義妹が取りに来るので渡しておくと言われた。
ちづるに弟の家に取りに行ってもらおう。
ここで私は考えた。
サクランボはいつもの居酒屋に持っていきたい。
できればママ子さんがバイトに来ている水曜日に。
それ以降になると鮮度も落ちてしまう。
なので、いつもの居酒屋に集合するハンバーググループが出発した後、
サクランボを持って居酒屋に行けばいい。
そうすればステキな袖の下をつかまされた女将さんやママ子さんも、
「こみやんは用事で実家に行っていたらしいよ」と味方をしてくれるだろう。
私はネットでハンバーグ屋の営業時間を調べた。
終わるのは9時だ。
畑に行って休憩して、9時ごろ行けば早い時間の常連もHGもいないはずだ。
ちなみにHGとは『ハンバーググループ』の略だ。
で、軽く飲んでサッと帰ってくればいい。
日が暮れるまで草取りをして、家に帰ってシャワーを浴びる。
軽いおつまみでビールを一本飲み、クイズ番組などを見て過ごす。
9時になり手土産をぶら下げて家を出た。
いつもの居酒屋はこの時間でも繁盛しているようだ。
玄関の外までにぎやかな声が聞こえる。
遅い時間はいつもだが、座敷に若いグループがいるようだ。
こんばんはと言って店に入る。
「あー、こみはげ!」
座敷にハンバーグを食べ終わって戻ってきたグループがいた。
サクランボは女将さんにこっそり渡すことができたが、
この後私は、あほあほあほあほあほあほあほあほ言われながら、
12時まで店にいたのだった。

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