私はそんなに本格的にやったことはないが、
海の近くに住んでいたので子どものころは遊びの一環として釣りをした。
学校帰りに海辺に行き、絡んで捨てられたテグスをほどいて、
テトラポットの隙間から小物を狙ったりしたものだ。
竹竿を持って磯に行ったり、リールを買ってもらって浜で投げ釣りしたりした。
だから一応あの手ごたえを知っている。
ブルブルッときてぐいぐい引っ張られるあの感触。
小っちゃな獲物だったとしても結構興奮するものだ。
目を閉じて記憶を探ると、その中でも一番のファイトを思い出す。
釣りをする人なら誰でも思い出の一匹があるのではないだろうか。
で、漁業の話かと思わせて農業のお話だ。
昨日も会社帰りに草取りに行った。
どうせ夏は草相手がほとんどなのだ。
とりあえず畑全体に野菜を植え終わったので気持ちは落ち着いている。
植え付けが終わるまでは天を見上げてイライラしたものだ。
植え付けが終了すると苗が余る。
私は種をたくさん蒔き、オーディションで勝ち残ったものだけを植えている。
そのシステムのせいでたくさんの苗が余ってくる。
欲しいと言う人がいると分けてあげるが、なかなか処分はしきれない。
かといって命あるものだから捨てるのは気が引けるのだ。
そんなわけで、数年前から残った苗を会社に持って行き、
『ご自由にお持ちください』と書いて置いておく。
そうするとけっこう持って行ってくれる人がいるものだ。
その様子を私は在庫の隙間から観察している。
今年も第一弾は完売した。
早く成長したオクラとキューリだ。
合わせて20本ぐらいだったが三日ほどでなくなった。
なんだかウキウキだ。
昨日第二弾を持って行った。
ちょっと大きくなったトマトを二本と、小っちゃいナスが5本ほど。
あとシソとバジルがたくさんだ。
今回は種類が多いので名札をつけていた。
すると、わが店の看板娘Sちゃんがやってきて「ひゃー」と言った。
興味を持ったようなので説明してやると、
「私、シソが大好きなんですよ~、育ててみようかな」
なんてかわいいことを言う。
迷っているようなので撒き餌をしよう。
シソの葉をちょっとちぎってSちゃんの鼻先に突き出した。
この匂いを嗅いだら、シソ好きはたまらないだろう。
するとSちゃん、私の差しだしたシソにパクッと食いついた。
つ…釣れたっ!

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