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月別アーカイブ  [ 2015年06月 ] 

あったか食堂

あるご婦人の話をしよう。
この方は私の知り合いの知り合いで、よくそのエピソードを聞く人だ。


この人が、お昼休みに食事に出た。
一度行ってみたいと思っていた店があったのだ。
しかし、残念なことにその店はお休みだった。

仕方なく徒歩で会社に戻る途中、ある食堂が目についた。
そこにあることは知っていたが、営業しているのかどうかわからないような店だった。
瓦屋根の普通の民家風の一軒家で、玄関前の駐車スペースは舗装もしていない。
いわゆる昔からの大衆食堂だ。

そこに車がいっぱい停まっていた。
私も何度か行ったことがあるが、安くて量が多くておいしい人気店だ。
ショーケースのおかずを取ってごはんと味噌汁を頼むもよし、
かつ丼やラーメン、カレーなどのメニューもある。

外仕事の人たちや営業マンなどでお昼は大賑わいだ。
ただ、この人はお昼時に通ったことがなかったので、
とてもさびれたお店のようなイメージを持っていたのだ。

「いったいどんなお店なのだろう」
そう思ったこの人は、ちょっと店内を覗いてみた。
するとすぐに「いらっしゃい」と声をかけられ、
入らなければならないような状況になってしまった。

どちらにせよ、どこかで昼食は食べなければならない。
そこでこの人は店に入った。
おそらく、女性が一人というのはこの店では珍しいお客さんだっただろう。
注目されたのではないかと想像できる。

とりあえず、何かを注文してこの人も食事を始めた。
食べ始めてすぐ「おいしい!」と思ったそうだ。
こういうタイプの店で生き残っているということは、もちろんおいしいのだ。

つぶれかけていると思っていたお店がこんなにも繁盛していて、
こんなにもおいしいものを出している。
そう考えたらなんだか泣けてきたのだそうだ。
そしてぽろぽろ涙をこぼしながらお昼ご飯を食べていた。

周りの人からしたらびっくりだ。
珍しい女性の一人客が入ってきて、食べながら泣き始めたのだ。
それを見ていたおっさんの一人が声をかけた。

「ねえちゃん、いくら負けたんや」

そう、この店パチンコ屋の近くにあるのだ。
泣きながら食べるというしゃべりにくい状況で、違う違うと身振りで示すが、
いっぱい慰められて帰ってきたのだそうだ。

めでたしめでたし。






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やらないんだもん
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[ 2015/06/16 06:44 ] 身内のこと | TB(0) | CM(8)
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こみ

  • Author:こみ
  • 三重県在住。
    妻のちづると二人でダラダラ暮らしています。
    晴耕雨読が理想です。
    記憶を自在に操る一人暮らしの母のところへ通ったりもしてます。


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