よくない傾向だ。
いつもの居酒屋の近くにラーメン屋がオープンした。
その場所は喫茶店からバーになりうなぎ屋を経てスリランカ料理店だったところだ。
看板を見ると『とん亭』とある。
市内に三店ほどある若者に人気の店だ。
そこが新しいジャンルの店を出したと聞いた。
『宅麺便』と書いてある。
そう、ここは出前とテイクアウトに力を入れている店なのだ。
『伊勢ラーメンブラック』とも書かれている。
どういう意味だかわからないが、黒いラーメンを開発したようだ。
そしてその下に『神琴』とあり『みこと』とふりがなが振ってある。
どうやらこれがここの店名らしい。
ややこしいわ!
私はそこはスルーし、居酒屋に行った。
「あのラーメン屋、オープンしていたねえ」
という話題を出そうと思っていたのだが、最初のビールで忘れてしまった。
が、しばらくすると若いお兄ちゃんが大きな包みを抱えてやってきた。
お客さんかと思っていたら、あのラーメン屋が開店の挨拶に来たのだ。
なぜもっと早く来ない。
すでに酔っぱらっているグループがちょっかいをかけるではないか。
こうなると常連全員がこの話題になる。
看板をじっくり見てきた私が、定休日や営業時間を教えてやる。
『とん亭』が『宅麺便』方式で『伊勢ラーメンブラック』を売る、
『神琴』という店だということも説明してあげた。
「ほな、ちょっと行ってみよか」
ほうら、こうなった。
よくない傾向だと思ったのだ。
麺は太くて縮れているタイプで、確かにスープは黒い。
これはどうやら伊勢うどんを意識しているのではないか。
となると、豚骨たまりラーメンということだろうか。
だが、一緒に行った文句言いのAさんが「なかなかうまい」と言っていた。
ギョーザも小ぶりでニンニクが効いていて、好きなタイプだ。
ノーマルのラーメンが650円。
他に担々麺や油そばタイプの伊勢ラーメンブラックもある。
なんと、チャーハンも黒い。
ミニどんぶりとのセットは880円だ。
居酒屋に戻って報告する。
残っていた常連の何人かが、
「どうする、行ってみる?」
などとざわざわしていたが、私は満足して帰った。
テーブルの上に好物のカレーパンがあった。
ちづるが「お食い」というのでいただいた。
で、ごちそうさまのあと、
「ところで、あのラーメン屋がオープンしたよ」
「なぜそれをカレーパン食うまで言わん!」
よくない傾向だ。

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