先週、ナス、ピーマン、シシトウの植え付けが終わった。
残った苗は「ご自由にお持ちください」と、店の前に置くつもりだ。
その前に、二人分を確保しておかなければならない。
オクラとシシトウとシソが欲しいと言っていたママ子さんと、
「野菜育ててみたいから適当に苗ちょうだい」と適当なことを言うNの分だ。
Nの家は私の畑から近いので、作業の帰りにキュウリ、トマト、オクラなどを置いてきた。
こいつは野菜の育て方を自分で調べようとはしない。
なので驚くような植え方をして私を笑わせる。
ママ子さんの分はバイトに来ているいつもの居酒屋に持っていく。
これはママ子さんのお母さんの趣味なので、ママ子さんは全く興味がない。
先週、ママ子さんにオクラの苗を持っていったら、ちょうどNも店に来ていた。
Nは私に「キュウリってどう育てたらいいの?」と訊いてくる。
これが説明するのが難しい。
そんな細かいことまで言わなくていいのに、酔っぱらっているから全部言ってしまう。
「根元から9節目までの腋芽と第一雄花が咲くまでの雌花は全部かき取り、
その上の小ヅル2本を2節で摘芯し、孫ヅルを伸ばす」
これが私がいろんな文献や体験談を読んで採用したやり方だ。
もちろんほかにもいろんなやり方があるが、何か一つ決めた方がやりやすい。
私はここまで厳密にしていないが、Nを困らせるためにこれを教えてやった。
野菜というのはややこしい。
ナスは、第一花の下2本の腋芽を伸ばし、
ピーマンは第一花の上2本を伸ばすと聞いた。
トマトはすべての腋芽を取り、花が多い房は先端と奥側の花を摘んで5個程度にする。
何度も言うが、やり方は人それぞれでいっぱい種類がある。
それをいろいろやってみて、豊作だ不作だと一喜一憂するのが醍醐味だ。
私に訊くから私のやり方を教えるが、自分で調べて自己流を決めればいいのだ。
さて、私が野菜を育てていることは居酒屋の常連さんはほとんど知っている。
ところが、ある常連さんがこのやり取りを聞いていて、
私が野菜に詳しい人なのだと思ってしまったようだ。
この人はご夫婦で店に来るので、あまり深く話をしたことがなかった。
どうやら最近野菜作りを始めたらしい。
この水曜日、この人が店にいて、
「ゴーヤはどう育てるの?」と私に訊ねてきた。
ゴーヤ…はっきり言って私はほったらかしだ。
ツル性の雑草みたいなものだと思っている。
それほど強くて何もしないでも収穫できる。
でもその人は何度か作ったけど小さい身しかできないのだそうだ。
で、孫ヅルを伸ばすといいとどこかで聞いたのだがやり方がわからないという。
キュウリの仲間だから、同じ方法でできるに違いない。
で、私は、50センチぐらいで本線を切ってしまえば子や孫のツルが伸びる、
と言ってしまった。
なんでそんなことを言ってしまったのだろう。
そして、そんなことを言ってしまったことを翌日になって気付くのだろう。
考えてみたら、低い位置での摘芯と言えば、エダマメの育て方ではないか。
あの常連さんが、自分のゴーヤの主ツルをチョキチョキ切っている姿が目に浮かぶ。
どうしたものか。
すぐに解決策が思いついた。
野菜の育て方にはいろいろあるのだ。
もしあとでクレームが来たら、
「ああ、あの方法ではだめでしたか」
と言っておこう。
そうしよう。

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