みなさんがご存じかどうか知らないが、世の中のすべてのものは値上げした。
この値上げには二種類の形がある。
一つはもちろん、値段の上がる方式だ。
つまり、同じものを買うのにたくさんのお金が必要になるパターンだ。
これは辛いことだが、自分で段取りができる。
節約するなり散財するなり、自分の懐具合で調節したらいい。
だいたいお金というものは、網ですくった魚ぐらい外へ出ていこうとするものだ。
そのジタバタ暴れっぷりはカツオ並み、掴んでられないのはウナギ並みだ。
もう一つの値上げは、値段はそのまま、中身の量が減るというパターンだ。
値段が上がることに対しては怒りで対抗できるが、
この中身が減る方式は、悲しみや寂しさで打ちのめされる。
ただ、この中身が減るパターンにも二種類ある。
数が減るのと、量が減るのだ。
数が減るのは見たらわかるが、量が減るのは何かで感じる。
あ、小さいって五感で感じるのだ。
この“小さくなる”にも二種類ある。
サイズが小さくなる、と、穴が大きくなる、だ。
この、穴が大きくなる、が値上げの中でもっとも不愉快だ。
穴物は大きく捉えて、ドーナツ、ちくわ、トイレットペーパーの三つだ。
この中で一番批判が少ないのがドーナツだ。
まず、色形がオシャレなので、スリムになったことが悪だと思えない。
しかも、量が減ったことをまったく別の言葉に言い換えることができる。
カロリーが減った、と。
これに引きかえ、批判の的になるのがちくわだ。
ちくわは元々ヘルシーである上に、おかずに使われる。
これの穴が大きくなると、持った時に「痩せた」と思ってしまうのだ。
カロリーが減って喜ぶ人々は、他人が痩せることを許せない。
さらに問題なのが、製造方法の差だ。
ドーナツは型に入れて油に落とす。
それに引きかえ、ちくわは芯に魚肉を巻いて焼いたものだ。
穴の大きさは芯が太くなったということだ。
芯が太くなったということは、製造業者は芯の量を増やしたということだ。
ちくわの芯の素材が何かは知らないが、量が増えれば値段が上がる。
ちくわは、芯の値段が上がった分も、その身を痩せさせているのだ。
そしてトイレットペーパー、これがたちが悪い。
紙の厚さが変わらず、穴が大きくなったと言うことは、
巻きが減った、つまり長さが短くなったということなのだ。
これはゆゆしき問題だ。
一度に食べてしまうものではなく、何日もかけて使うものは減った感が感じにくい。
実際は知らないうちに、10日で一本使い切っていたものが、
9日で一本使ってしまっている可能性があるのだ。
いや、そうに決まっている。
となると、いつも18ロール入りを買っていたとしたら、
18日も早く次のを買いに行かなくてはならない。
車で買い物に行くとしたら、ガソリンを余分に燃やしているのだ。
そりゃこんな生活をしていたら、お尻に火がついてしまう。
いろんな意味で、穴にご注意を。

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