猫にマタタビの例えもあるが、我々人間にだって、
うっふ~ん、たまら~ん、となっちゃうアイテムがいくつかある。
一言で言うなら“恍惚グッズ”だろうか。
有名なところは、通称プチプチという衝撃緩衝材だ。
ビニールのシートに一面テントウムシぐらいの気泡がついてるやつだ。
アレを指でプチプチとつぶすのが好きな人は結構いる。
私はまとめて雑巾絞りにしてブリリッってやるタイプだが、それも気持ちいい。
少し前の噂では“無限プチプチ”なる商品が開発されたそうだ。
手に納まるぐらいのサイズでいくつかのプチがあり、何度でもその感覚を楽しめるらしい。
その続編が“無限枝豆”といって、枝豆の形をしていて、
さやから枝豆がプリッと飛び出す感覚を得られるのだ。
私はがま口が好きだ。
財布ではないがいくつか持っている。
イヤホン用のがま口はときどきコードを挟んでしまって、きっちり閉まらない時がある。
これがとても気分が悪い。
イヤホンをぐいぐい押し込んで、ポチッとしまった時、胸のつかえが下りた気がする。
そうそう、雑草にも気持ちのいい奴がある。
つまんでそうっと抜くと、あれ、あれ、あれ、と、予想外の根っこが付いてくるのだ。
この根っこが途中で切れずに抜けると、それはもう気持ちいい。
鉄製のフライパンってやつは、使っているうちにどうしても焦げ付いてくる。
これを取るには、よーく焼いて一気に水を掛けるのが一番だ。
こうすると、フライパンのカーブの形のコゲがピケッと取れる。
これがまたたまらん気持ちのよさなのだ。
さて、ここまでは前振りだ。
私の業務用うっふんグッズをご紹介しよう。
それは、紙工用ボンドだ。
本やメモなどの背をくっつけているあののりだ。
私がメモを作るときは、最大で高さ40センチぐらいまで紙を積む。
これに刷毛でこののりを塗り、乾いてからいい大きさに切る。
こののりが、塗っているときによく零れ落ちる。
その時にあわてて拭き取ってはいけない。
拭いたって決してきれいには取れないのだ。
作業台にこぼれたのりは、そのまま触れずに乾くのを待つ。
乾くと、この白い海苔は半透明になる。
その端っこを爪でコリコリする。
端っこが浮いてきたら、つまんではがす。
ペリリ。
きもちいいいいいい~。
どんな形にこぼれてもちゃんとそのままはがれてくる。
たとえば習字でいうはねやはらい、かすれができたってきれいにはがれる。
そして、はがれた跡がきれいになっているのだ。
この恍惚の最上級が数年に一度やってくる。
そう、使い終わったのりのボトルだ。
なにしろ3キロ入りなので、そう簡単には使い切らない。
でも、もう刷毛ですくい取れないとなったら、ふたを開けたままにして乾かす。
粘度の高いものの器の常で、入口辺りはかぴかぴになっている。
そこからはがす。
丸い口の360度を丁寧にはがす。
そして、そこを持ったままボトルの内側に手を突っ込んでいく。
そう、その通り、このボトルの内側はボトルの形のカピカピでおおわれているのだ。
こぼれたものなんかより量が多いので結構な力仕事だ。
それをぐいぐい、ぺりぺりはがしていく。
残念ながら、ボトルの形のまま取り出すことは困難だ。
しかし、それを取り終わった後は、ボトルの内側は新品同様だ。
チリひとつ、雫一滴残ってはいない。
ああ~この気持ちよさ、達成感。
恍惚ここに極まれり、という喜びの中、
ボトルの外側がほこりまみれなのががっかりだ。

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