暑い。
暑い時に暑い暑いと言っても暑さはおさまるわけでなく、
暑い暑いと言っている人を見て暑さがますような気がしてイライラする。
暑い暑い言ってすいません。
そんなときは、逆に暑い時ならではの楽しみを見つけるべきだ。
よく「暑いとビールがうまい」なんていう人がいるが、ビールはいつでもうまい。
「暑い時こそサウナでさっぱり」ってな案もあるが、
暑いとサウナでさっぱりしたあと、再びジケジケになってしまう。
「暑い時のうなぎ」は今べらぼうに高い。
昨日も、買い物難民の母をスーパーに連れて行った。
すると母がこんな提案をした。
「スイカ一個買うて半分こしよか」
そうだ、暑い時はスイカに限る。
どうせ払うのは母だ。
私は一も二もなく賛成した。
自宅に帰ってまずしなくてはならないのが、冷蔵庫での場所の確保だ。
ともかくスイカは場所をとる。
納豆やらチーズやら味噌やらを移動させて場所を確保した。
なんで移動させるのが発酵食品ばかりなのか。
さて、私はいつも5時半頃起きて、こんなものを書いている。
これに取り掛かる前に、寝ているあいだに失った水分を補給する。
今までは缶コーヒーだったり麦茶だったりしたが、
今朝はもちろんスイカだ。
目覚めてすぐに台所に行きまな板を用意した。
スイカの状態は半分、つまり角度で言うと180度だ。
今朝、25度ぐらい、切ってみた。
そのままシンクのところでかぶりつく。
ああ、ありがとう、夏。
なんだか飲み物で水分を取るよりありがたい気がする。
これから毎日適当な角度を切り、少しずつ食べてゆく。
ちなみに、ちづるに分けてやらないわけではない。
やつは種をぷぷぷとしなければならないようなめんどくさい食べ物は嫌いなのだ。
スイカにはもう一つ素晴らしい一面がある。
こんなに大きくて水分が豊富なのに、最初にかけたラップがずっと使えるのだ。
半割りになったスイカの切り口にラップをかける。
ラップを半分めくってセンターラインに包丁を当て、好きな角度を切り取る。
するとこのラップが再び切り口を覆うことができる。
このあと食べ進みスイカがどれだけ鋭角になっていっても、
常に切り口の面積は変わらない。
ああ、なんか素敵、スイカと数学。
ただし、角度が鋭くなってくると、包丁をセンターに当てるのが難しくなってくる。
だが、これがずれるのは許せない。
センターがずれると今日食べる分か、残す分のどちらかに角が余分にできる。
それはなんだか丸みを帯びているように感じられるのだ。
スイカはエッジの効いたのにかぶりつきたい。
そう、かぶりついたら口の端を切るような鋭いスイカがいい。
残る方は、ラップを切り裂くほどのシャープな角度でいてほしい。
だから夏の私は、朝の起き抜けが一日で一番緊張している。
精神を研ぎ澄ませ、センターを外すことなくスイカを切るのだ。
そしてそのあとは、暑さでだらだらになっていくのだ。

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