昨年末にぎっくり腰を起こし、あわや寝たきりか、と思われたうちの親父だが、
おかげさまで、自力でベッドから椅子に移動できるほどに回復してきた。
元々足自体は悪くないので、このままリハビリを続けて、
縄跳びスキップぐらいはできるところまでいってもらいたい。
そんなわけで、私が病院に連れて行くようなことはもうめったにないのだが、
週に一度は買い物に連れて行ってやらねばならない。
土日のどちらかで実家に行き、母をスーパーやら百円ショップやらに乗せていく。
すると、足よりも口が必要以上に動くようになった親父が、
あれやこれやと贅沢を言うようになった。
何が食いたい、あれを買ってこい、これは嫌い、それはイヤ、
おぼっちゃまか。
私が行くとわかっている日は事前によく電話がかかってくる。
「どこそこのスーパーのお惣菜コーナーのレバー串を二本買ってきてくれ」
「トロの寿司を買ってきてくれ」
「うまいスジコを買ってきてくれ」
普段行くスーパーにないものは、私が手土産として持っていくのだ。
じゃあそこで買い物を済ませていけばよさそうなものだが、
結局いつものスーパーも連れて行かなければならない。
母は母で、自分の目で見て買わないと気がすまないのだ。
昨日は、
「来るときに『赤福』買ってきてくれ」
と言ってきた。
なんでワシが観光客に混じって赤福を買わねばならんのだ。
で、8個入りを持っていったら、
「こんなには食べられないからお前も食え」
という。
昨日は二日酔いで気持ち悪かったので何も食べずに出かけ、
最初に口にしたのが赤福という事態になってしまった。
先日はジュースを頼まれた。
オレンジやリンゴみたいに酸っぱくないやつ、という指定だ。
母にはそれがよくわからないので、私がピーチ味とフルーツ牛乳を選んだ。
あれは気に入ったららしくうまそうに飲んでいた、というのでまた買った。
家に帰ると、親父が早速のどが渇いたという。
「この間のピーチとフルーツがあるけどどっちがいい」
と訊ねたら、
「あれはくどい」
じゃあ水を飲め。
そんなわがまま親父が、私の帰りがけにこう言った。
「お前、今度は昼飯を食べていけよ」
あら、どうしたことだろう。
センチメンタルジャーニーか。
「ワシ、カレーうどんが食いたいんやけど、一人前は食い切らんからな」
残飯処理か。

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