今、私は本眠のほかに、一日に二度仮眠をとっている。
朝食を食べて歯を磨いてから、着替えて出勤するまでのおよそ20分間。
昼休み、ちょっと本を読んだあとの20分間。
どちらもケータイの目覚ましで起きる。
この、仮眠というやつがたまらなく気持ちがいい。
ホットカーペットの上で、夢とうつつの間をトランポリンでぽよんぽよんする。
食欲が満たされた後の至福のひと時だ。
ただし、この仮眠には時間制限がある。
「ああ、いい仮眠だった」
と思えるのは、目覚ましが鳴った瞬間の状況で決まる。
最悪なのは、うっかりいやなことを考えてしまった時だ。
勝手に腹を立てて、キーッとなっている時に目覚ましが鳴ると、
もう一度、最初から仮眠し直したくなるが、会社はそれを許してくれない。
うっかり深く眠ってしまうのも、仮眠的には良いとは言えない。
目覚ましでビックリして飛び起きて、
「ここはどこ? 私は誰? ご飯食べた?」
って時は仮眠を堪能していない。
深く寝てしまうと、仮眠が一瞬だ。
快楽のひと時を記憶なしに過ごしてしまったということになる。
これはもったいないというしかない。
ラーメンを食べている間の記憶がなかったら、
たとえお腹が一杯になっても満足はできないだろう。
でも、深く眠った方が、睡眠不足が解消されたはずだ、と考える人もいるかもしれない。
これが自然に目覚めたのならそうだろう。
深い眠りを中断するのは精神衛生上良くない。
それはやはり眠りの質が悪かったということになるだろう。
だからと言って、自然に目覚めるまで寝ることは、会社が許してくれない。
ちょうどいいまどろみの仮眠中に、
「そろそろ目覚ましがなるんじゃないだろうか」
と思ってしまうときがある。
これが良くない。
そうなると安心して仮眠していられなくなる。
時計を見て確かめたい欲求に駆られる。
で、ちら、と時計を見てしまって、あと一分だったら。
「ああー、しまった。見なきゃよかった」
と後悔するのだ。
さて、本眠の方でも寝入りばなのウトウトしている時間は気持ちいい。
このときに、キーンと耳鳴りがすることはないだろうか。
私はたまにある。
実は、弟にいやなことを聞いた。
私の弟はごくまれに金縛りに合うらしいのだが、金縛りの直前に耳鳴りがするというのだ。
金縛りが何の仕業だなどという気はないが、やはりなりたくないではないか。
弟によると、キーンと耳鳴りが始まったときに体を動かすと金縛りにならないそうだ。
だから、私も耳鳴りがしたときは体のどこかを動かすことにしている。
問題はどこを動かすかだ。
頭は耳鳴りでビックリしているが、体はウトウトと気持ちよがっているところだ。
大きく動くと体が目覚めてしまう。
手の指とか、つま先とかいろいろ試してみたが、一番いいのはアゴだと思う。
下あごを左右にカクカクと動かすのはあまり睡眠のジャマにならない。
脳に近い位置にあるのになぜ覚醒してしまわないか、私なりに考えてみた。
歯ぎしりの動作に似ているからではないか。
つまり、寝ている間にする動作と同じだから、睡眠をジャマしないという仮説だ。
それに、
「どれ、こいつを金縛りにしてやろう」
なんて考えている何者かがいたとして、
アゴがカクカクしてたら「こいつはやめとこう」ってなるような気がする。
いろんな意味で、気のせいだと思うが。

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