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月別アーカイブ  [ 2012年02月 ] 

仄暗い水の底から

私が夕食の麩を煮ていると、ちづるが来てこう言った。

「今朝、私のGパン二本とあんたのGパンを一本洗った」

「それで?」

「洗濯機の底から二百円出てきたが、あんたのか」

もちろん私のものだ。
決まっているではないか。
世の中の持ち主不明の二百円は全て私のものなのだ。

「証拠はあるか」

当たり前だが私の所有権を証明する物的証拠はない。
しかし、ちづるが証拠の提出を求めるという事は、
ちづるの側にも自分のものである証拠がないという証拠だ。
ここは状況証拠を積み上げて優位な立場に持って行こう。

「君のような守銭奴が二百円という大金を放置するはずがないではないか」

鉄の論理だ。
これにはやつもグーの音も出まい。
ところが、ちづるは思いもかけない反撃に出てきた。

「何を言う。
 私はな、五千円札をズボンのポケットに入れたまま、洗濯カゴに放り込み、
 洗濯して、干して、たたんで、押し入れにしまって、また出してきてはいて、
 ポケットに手を入れて『あ、五千円』と思ったことがあるんだぞ」

なんと、金にルーズであることの証明だ。
たかが二百円のためにそこまで自分を貶めるのか。

「私はな、銀行でお金をおろしてきて、その封筒をうっかりゴミ箱に捨てて、
 そのまま数日過ごし、お金がなくなってきたのでおろしに行こう、と思ったが、
 待てよ、確かお金はおろしたはず、と気付いてゴミ箱をあさり、
 現金を回収したことがあるんだぞ」

そんなことでいいのか。
それを発表してまで二百円が欲しいか。


とりあえず麩が煮えたので、二百円は棚上げして夕食にすることにした。
するとちづるが、今夜はビールを飲まないという。
なにやらかすかに頭痛の気配があるらしい。

「君、頭痛がすると言えば私が食器を洗うと思っているのではあるまいな」

日曜日、慣れぬ運動をしたちづるは夜になって頭痛を起こし、
私が洗い物をしたのだ。
この発言に、ちづるは不快感をあらわにした。

「いやなことを言うな~」

「二百円を手に入れる、いや、取り戻すためなら、いやなことも言うわな」

こうして私は二百円を手に入れ、いや、取り戻した。
で、その二百円、ワシはどこに置いたっけ?






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毛モノは別に
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[ 2012/02/21 06:22 ] ある日の出来事 | TB(0) | CM(10)
プロフィール

こみ

  • Author:こみ
  • 三重県在住。
    妻のちづると二人でダラダラ暮らしています。
    晴耕雨読が理想です。
    記憶を自在に操る一人暮らしの母のところへ通ったりもしてます。


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