ペリーか出島かザビエルか、その発端は知らないが、
今や外来語は我々の会話の中にあふれかえっている。
その中で特に勢力を伸ばしているのが『ING』ではないかと思う。
記憶が薄れるほど昔に授業で習ったのは、
確か現在進行形てな文法の話だった。
ところが『ING』は現在、現在進行形以外に、名詞部門にも進行している。
スイミング、ランニング、カーリング、ボウリングなど、
特にスポーツ界はイングイングしているではないか。
『パンチングボール』なんてものが売っているのを見たが、
これももちろん「パンチ中のボール」のことではない。
ボクシングのマネゴトをするためのおもちゃだ。
『ING』はその使いやすさで、スマホよりも世間に浸透している。
スマホも『スマヒング』にしたらもっと売れるのではないだろうか。
あ、いかん、先日の私の主張なら『スマフィング』だ。
そんなことはどうでもいいんぐ。
『ザッピング』という言葉がある。
テレビのチャンネルをテケテケ変えることだ。
このネーミングが見事だと思う。
今、誤変換で『雑品具』と出たが、あながち誤変換でもないように思う。
いかにも『雑ピング』という感じがするからだ。
この言葉は新しい。
少なくともリモコンよりあとに生まれたはずだ。
私が不思議に思うのは、いったいどこのだれが、
テレビのチャンネルをテケテケ変えることに名前をつけようとしたのか、ということだ。
ザッピングをする人ががザッピングに名前をつけようと考えるとは思えない。
彼らにはザッピングなんて当たり前のことなのだ。
逆に、ザッピングをしない人はザッピングをしないのだから、
ザッピングにザッピングと名付けるはずがない。
では、いったいどうしてザッピングという言葉は生まれたのだろう。
それはもちろん、両者がいっしょにいたときだ。
ザッピングする人間は、ザッピングせずにはいられないし、
ザッピングしない人間は、ザッピングなどされたらうっとうしくてたまらない。
ウチの親父が筋金入りのザッピンガーだった。
ドラマでキャストが流れ始めるとすぐにチャンネルを変える。
コマーシャルになるとすぐ変える。
当然、家族からはブーイングの嵐だが、決してやめようとはしない。
ザッピンガーと非ザッピンガーがテレビのある場で同席したら、
それは当り前にもめごとが起きる。
もめごとが起きたら、その原因はなにかと探られる。
そこで初めてザッピングにスポットライトが当たったのだろう。
考えてみれば、絶対君主的にチャンネル権を持つ人がいれば、もめごとにはならない。
だれも逆らわないからだ。
これは一家の大黒柱の権威が落ち始めたころに発生した可能性がある。
そして今や、テレビは一人に一台どころか、パソコンやケータイでも見える。
もし、リモコンが発明され、家庭の君主制が崩壊する前に、
個人で見られるテレビが普及していたとしたら、
ザッピングと言う言葉は生まれなかったかもしれない。
そう思ったらザッピングという言葉にも感慨を 感じるはずあるか!

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