地元では珍しい、おでんの専門店に行った。
おでんを置いている店はいくつもあるが、一年中やっている店は少ない。
一年中あったとしても、おでんメインで、というのは他に知らない。
数年つぶれずにいるところを見ると、そこそこ流行っているのだろう。
店は小さくて暗くて、静かに音楽が鳴っている。
主人は案外若いが、しゃべるタイプではなさそうだ。
メニューはおでんが28品。
ほかに一品モノがいくつかある。
とりあえず、ダイコン、うずら、いわしつみれ、モヤシを頼んだ。
普段行っている居酒屋では全6品から3品選んで250円だが、
さすがに専門店は一品ずつ値段が違う。
安いもので100円。
一番高いのは『答志島産タコ』で650円だ。
メニューの中にはとてもおでんの具とは思えないものがいくつかあった。
ナスやミズナ、エリンギなんてものまである。
私が頼んだモヤシもおでんになるとは思えない。
しかし、この『モヤシ』こそが今回の目当てだったのだ。
気にはなっているが行ったことのない店だったここ。
同僚N岡が、ある日、
「行きましたよー」
と報告してきた。
いろいろ情報を聞いている中、特筆されたのが『モヤシ』だったのだ。
いつもの居酒屋がおでんを始めたとき、
常連さんたちの間でこのおでん屋のことが話題になった。
これはチャンスと思い、
「モヤシがうまいって聞いたけど」
と言ってみた。
すると、行ったことのある常連さん全員が、
「おーモヤシ!」
と感嘆の声を上げた。
なんだか、みんながお気に入りのようだ。
これは食べてみなくては。
『モヤシ』は別の小皿で出てきた。
どうやら、おでんのだしでモヤシをサッと煮て、
ゴマ油がかかっているようだ。
隠し味になにか入っているのか、ゴマラー油の香りがした。
モヤシ自体はシャキシャキだ。
これはおいしい。
また注文することになるだろう。
ということは、また来店するということだ。
このあと、ひりょうずとエビレンコン、
あと一品モノから『サンマ共肝焼き』というのを追加した。
ちなみにここのおでん、ものすごく味が薄い。
この地方に付きものの味噌もない。
席にはからしと柚子コショウがあるだけだ。
いつも行っている、絨毯爆撃を受けているようにやかましく、
歌舞伎役者のアイラインみたいにはっきりした味の居酒屋から逃避したくなった時、
こっそり訪れる店として認定しよう。
ああ、また巡回飲み屋が増えてしまった。
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