ヨレヨレだった昨日も午後には回復し、夕方には草刈り機を持って畑に行った。
草さえ刈ってあれば、今日の段取りがずいぶん違ってくる。
美しくなった居住スペースにすぐパラソルが立てられるし、
トマトやキュウリの世話だけなら長靴をはかなくてもいい。
草を刈った後、ちょいと野菜を見回ると、キュウリが三本出来ていた。
まっすぐなのが二本と、やや大きくてまがったのが一本。
初収穫だ。
帰りに川に寄って、曲がったのを流し、豊作をお願いしてきた。
さて、梅雨も明けて灼熱の地獄と化す畑。
ともかく荷物が多くなる。
と言っても、行きは適当に車に積めばいい。
大変なのは帰りだ。
相性の悪い荷物たちが手に一杯になる。
コレの持ち方がむずかしい。
大雑把に分類してみよう。
まず、ケータイやカメラなどの精密機械。
収穫した野菜。
汗だくになったシャツやタオルや靴下。
カラになったペットボトルと氷嚢。
その他、車のキーや財布、サングラス。
家に帰ってくると助手席はこんなものでいっぱいだ。
もちろん、全部家に運び込む。
しかし、自分の体も汗だくだ。
家と車を何度も往復したくない。
そこで一度に持とうとする。
これを全て一度に持つのは至難の業だ。
なにしろ手は二本しかない。
まず、汗だくのものと精密機械は密着させたくない。
カメラとシャツが押しつけられ、じゅんじゅんと染み出た私の体液が、
メカの内部に浸透していったらいやだ。
水分と塩分はメカの敵だ。
かといって、収穫した野菜も洗濯ものにまみれさせたくはない。
初収穫のキュウリが、靴下に入れてぶら下げられたらいやではないか。
塩味は付くかもしれないが。
収穫が多いと野菜の重みでサングラスがつぶれるかもしれない。
車のキーでトマトを突いてしまっても困る。
お茶を持つのにまた使うペットボトルも汗まみれにはしたくない。
だからと言って、全てをレジ袋に分けて入れるのも逆エコだ。
食べるものをワキの下に挟むのもイヤだ。
そこで綿密な作戦をたてる。
まず、タオルは首に掛け、靴下はシャツにくるんで左脇にはさむ。
野菜は冷蔵庫行きなので、レジ袋に入れ左手の小指にぶらさげる。
左手のほかの指でペットボトルの首を握る。
右手の指にはカメラとケータイをぶら下げ、車のキーを握る。
車のドアを閉め、ロックをしなければならないから脇にはものが挟めない。
そして頭に氷嚢を乗せ、バランスを取りながら玄関を目指すのだ。
ほんの少しの距離なのだ。
しかし、まず野菜の重さで小指がくじける。
ほかの指の間が開き、ペットボトルが落ちる。
カラのペットボトルの足は速い。
放っておきたいが、ご近所の庭に入っていったら、今後のお付き合いにさしさわる。
なんとか追い付くが、氷嚢が乗っているので屈伸で拾わなければならない。
左手だと野菜やほかのペットボトルが地面に着いて取ることができない。
まして脇が開けない。
かといって右手には精密機械がぶら下がっている。
カメラやケータイをアスファルトにゴリゴリしたくない。
そして、もう一本のペットボトルが落ちる。
全てをぶちまけ、地面に寝転んでジタバタしたくなる。
でも我慢してペットボトルを拾おうとする。
氷嚢が落ちる。
その光景をお隣の奥さんがベランダから見ている。
結局、二度に分けて運ぶことになるのだ。

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