年とともにいろいろな能力が衰えてくるのは仕方ないが、
最近、自転車に乗るのがヘタになってきた。
こんなに毎日乗っているのだから、上達してもいいはずなのに。
学生のころは、自転車は手足と同じだった。
左右のブレーキを使いこなし、障害物はひょひょいとよけ、
急加速急停止も思いのままだった。
歩道の縁石や路肩のラインの上をいつまでも走り続けられた。
それが今はどうだろう。
車道から歩道にあがるわずかな段差に手を焼いている。
タイヤが溝にはまったようになって、気持ちについていかない。
またそうなったときに冷静に対処できず、
自分で思い出しても恥ずかしいほどあたふたおろおろしてしまう。
スピードと位置関係のタイミングも取りにくい。
追い越そうとしている歩行者と、前方からくる自転車をやり過ごすのに、
加速するか減速するか、頭のコンピューターが計算するのだが、
結局三人が歩道の街路樹で狭くなったところでまごまごすることになる。
乗る技術だけではない。
自転車生活全体にズレが生じてきている。
スタンドを上げるのを忘れていて、カーブでガーッとこすったり、
荷台に荷物を縛るのに、最後のフックが届かなかったり、
カゴに入れた荷物が段差でびょーんと飛び出したりする。
先日、ちづると二人で自転車に乗ろうとした時だ。
二台ともライトが付かない。
電池式の方は電池が切れていて、発電式の方は電球が切れていた。
ひょっとして、自転車に嫌われているのだろうか。
先日、横断歩道のない交差点を渡ろうとした時のことだ。
長い直線道路なのだが、トラックが停まっていて見通しが悪かった。
出よう、とペダルを踏んだ瞬間、車が見えたので急停止。
のつもりが、体重が前に行きすぎていてうまく止まれず、
しかも左足のペダルを踏み外してしまった。
おとなしくサドルに座っていればよかったのだが、
お尻を上げていたので当然右足ペダルに体重がかかる。
前につんのめりそうになったのでブレーキを緩めたら、もちろん前に進む。
後ろに戻らなくては、という気持ちがあるので両足をついたとき、車が停まった。
ちょうど自転車一台分、停止ラインを越えてしまった。
つまり車道を見事にふさいでしまったのだ。
すいませんすいませんと頭を下げて、つま先で後ろに下がろうとしたが、
あまりに私のうろたえぶりが気に入ったのだろう、
運転手の女性はニコニコしながら、どうぞと道をゆずってくれた。
しかし気持ちがバックギアに入っているので、今度はいきなり前に進めない。
再びすいませんすいませんと頭を下げてやっと道路の横断に成功した。
こんな路上パフォーマンスをするつもりはなかったのですごく恥ずかしかった。
昔はこんなことなかったのに。
おそらく私は近いうちに自転車で転ぶだろう。
ひざをすりむいたりするかもしれない。
その時はここでまたご報告しよう。
たぶん転んだ瞬間、
「しめしめ、ネタができたわい」
と思うはずだし。

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