食べ物の好き好きはいろいろあるけれど、中には変わった好みの人がいる。
ある意味、一般的でない自分の“好き”を発見できた幸せな人でもある。
上司Tの兄は、トマトは青くてカリカリしたのが好きだそうだ。
はっきり言ってそれは未熟だ。
それならチンゲンサイでも食べてたらどうなのだろうか。
以前、勤めていた会社の同僚Tは、
コーラはパーティーが終わった後の、気が抜けたのが好きだ、と言っていた。
炭酸がほどよくぬけた、喫茶店の氷とレモンの入ったのがいいということだ。
こいつは後輩なのだが、若さがないのではないか。
名前は忘れたが昔の友人、
話の流れからいって、イニシャルは“T”だろうが、
そいつはあられやポテトチップスはほどほどに湿気ったのが好きだと言っていた。
歯が弱いのだろうか。
同僚O川の妻は、うどんやラーメンはまずスープを飲んでしまうという。
あー、
もはや、異常だ。
残念なことに、イニシャルはTではない。
このように、好みというのは誰にでもある。
アレが好き、これが嫌いというのは所詮個人の決めるべきことだ。
しかし、先日驚くべき事実が発覚した。
わが社の男子6人全てが、
『抹茶味が嫌い』
なのだ。
わが社は夕方おやつタイムがある。
ちょっとしたお菓子と飲み物が出る。
早い者勝ちなので、味が二種類あったなら、抹茶味が全残りになる。
話を聞けば、かき氷でも宇治金時は頼まないというし、
抹茶ケーキや抹茶アイス、焼酎の抹茶割も飲まないらしい。
この味って、女子は受け入れているのだろうか。
みんなの意見が共通なので、私の考えを発表させていただくが、
男子は、今の抹茶味の使い方を『ヘンな食べ方』と思っているのではないか。
というのも、ほとんどの男子は本来の抹茶の使い方を知らない。
なんとなく“茶の湯”という言葉を知っているぐらいだ。
その正体は全く怪しげである。
しゃがまないと入れないような妙な個室で、
わざわざ小さい道具を使い、
ビックリするぐらい高価で、いびつな形の器で、
薬のように苦い粉を回して飲んだりするのだ。
「これは、世間一般には知られていない“作法”というものに従っていただくのだよ」
あとから入ったものは教わる一方。
先輩たちはわかった顔で、得体の知れない動きをする。
要するに先輩面のためのものなのだ。
そんな味が世間一般に広がっている。
なんにでも抹茶味がある。
情報の開示?
新感覚の流布?
いや、それは本当に茶の湯をわかっている人たちからすれば、
「ヘンな食べ方」
なのではないだろうか。

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