いまさら何だが、イカってすごい。
煮ても焼いても揚げても干しても生でも漬けても、
醤油も味噌もバターもカレーもショウガもワサビも酢でもキムチでも、
要するに、どんな役でもこなしてしまうのだ。
見た目はそっくりなのに全く融通の効かない「ういろう」に説教してもらいたい。
ちょっと前から、行きつけの居酒屋に新メニューが増えた。
「ゲソの唐揚げ」だ。
もうこれが好きで好きで、行くたびに注文してしまう。
いわゆるマイブームというやつだ。
しかし、唐揚げ界には強力なメンバーがそろっている。
ゲソは太刀打ちできるだろうか。
まず、筆頭は「トリ」だろう。
唐揚げの代名詞と言ってもいい。
同じトリでも、歯ごたえが素敵な「軟骨」というやつがいる。
サクサク感が最高の「小エビ」
南蛮漬けという特技を持った「小アジ」
さらに、いまだ存在が確認されていない伝説の「フグ」
ひいき目かもしれないが、私はゲソはこのラインナップに遅れを取るものではないと思う。
ゲソの唐揚げ一人前は一匹分、
つまり10本だ。
この一皿の中でも味わいがいろいろある。
8本は普通の足。
本体に近い方、つまり太ももに当たる位置は身が大きくぷりぷりしている。
数本まとめてかぶりつくのは誕生日にしか許されない贅沢だ。
その逆、つまり足の先端近くは、カリカリしてて香ばしい。
細かい吸盤も手伝って、まるでスナックのような食感が得られる。
ビールのお供にはたまらない技だ。
残り2本は、人でいうなら手だ。
手首から先はふっくらしていて、手のひらには大きな吸盤がある。
他の足先とは微妙に違う食感だ。
二つしかないという貴重感も食べるタイミングを考えさせる。
そこから伸びる手首の部分、細くしなやかにクルクル巻いている。
やわらかく、でもしっかりしているような、巻きついてくるような、拗ねたような。
ああ、ゲソ。
なんて一匹で多様なバリエーションを内包しているのか。
それに引き換え、塩辛といったら・・・
先日、朝ごはんのおかず用にちづるが買った。
実は私、イカの塩辛はご飯に合わないと思っている。
なんというか、硬さが違うではないか。
やわらかいごはんに対し、皮だけになってしまって「きゅきゅ」とかいうような、
歯で噛み切れないあの感じ。
ましてや、お茶漬けなんぞに合うはずがない。
私にとってイカの塩辛といえば、日本酒のおつまみだ。
お酒を飲まない人でも、塩辛を食べたりするのだろうか。
その時の相方はやっぱりご飯なのだろうか。
みなさん、イカが?

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