昨日の昼食は、行きつけの中華料理屋さんで唐揚げ定食を食べた。
この定食は平日のサービスランチで土日祝日はやっていなかった。
しかも月曜日が定休日だったので今までは食べる事が出来なかったのだが、
月曜が祭日の場合は開店することになり、やっとありつけたのだ。
唐揚げは外側がカリッとしていて、中身はジューシー。
スパイスの効いた大ぶりなのが五個もある。
ごはんはおかわり自由で、スープとあんかけ卵がついている。
店に着いたのはすでに1時。
おなかはグー、いただきまーす。
で、すっかり満足した食後、
何やら口の中に違和感が。
上側の前歯の後ろあたりを舌で触ってみると、ベロベロ皮がむけている。
どうしてこんなことになったのか。
もちろん唐揚げのせいだ。
先に書いたようにこの唐揚げは大ぶりだった。
胃袋にはありがたいことだが、前歯の後ろにはありがたくないことだ。
上下の前歯より大きなものは、歯が食いちぎる前に歯茎部分に接触する。
『外側がカリッ』というのは表面が硬いということだ。
『中身はジューシー』というのは熱い汁が出るということだ。
『スパイスの効いた』というのは刺激が強いということだ。
一方、口の中とはどういうところか。
外気に触れる部分とは違い、皮膚は薄く、常に潤っていて敏感だ。
前歯の後ろの部分は、舌やクチビルと違って活発に動けない。
いや、微動だにできない。
逃げることができないのだ。
頼りは舌だ。
舌が食べ物を転がして熱いものが長く接触することを避けている。
だが、舌とてわが身がかわいい。
自分がやけどをしてまで前歯のうしろを守ることはない。
結果、敏感で常に潤っている薄い皮膚を、
硬い唐揚げの表面ががガリガリと傷つけ、
灼熱の肉汁がその傷口を焼き、
スパイスが痛点を刺激する。
ああ、なんという残酷。
もちろん、こんな体験は初めてではない。
今まで何度も何度も何度も何度も経験してきた。
そして、ふと気づいてしまった。
人間は熱いものを食べるのに向いていないのではないか。
人間の脳は急激に発達し、その生活は飛躍的に向上した。
火を使うようになり、人間は文明を手に入れ、他の生物とは一線を画した。
ただ、体が追い付いていない。
熱いものを食べるようにはまだ進化しきっていないのだ。
生物の適応能力はすごい。
人間もじきに熱いものを食べやすい体に進化するはずだ。
熱いものを食いちぎるために、前歯は今よりずっと伸びるだろう。
食いちぎった後、熱いものをお手玉できるように、
舌は手のように器用になることだろう。
そして口の中の皮膚は、べろべろにならないよう、かかとみたいに丈夫になるだろう。
はたしてそれで唐揚げがおいしく食べられるかどうかは疑問だが。

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