私は買い物好きだ。
スーパーやホームセンター、百円ショップなど、
見て回るだけでもウキウキする。
昔では考えられなかったことだが、
最近は薬屋さんも大型化し、結構な買い物スポットになっている。
おかげで薬屋さんは元気な人たちでいっぱいだ。
とはいえ、薬屋さんでの時間つぶしは女性に分がある。
化粧品や生活雑貨は男子はあまり見ない。
薬屋さんには、男子がそこにいるのが恥ずかしいゾーンがあるのだ。
なので夫婦で買い物に行っても、私が待つことがどうしても多い。
そんな理由で、先日も見る必要のない棚を眺めていた。
少なくともそこは恥ずかしくないゾーンだったのだ。
えらいもので、つまらないような棚でも、隅々まで見ていると、
なかなか面白い物を発見することがある。
白地に文字だけの小さい箱を見つけた。
『薄荷油』
と書いてある。
中身は小ビンのようだ。
説明を読んでみると、ミントの葉から抽出した無添加のハッカエキスらしい。
当然料理にも使えるが、
お風呂に入れたり、おしぼりに香りをつけたり、
また、ハッカ水を作って、部屋に霧吹きするとよいと書いてある。
なんだか、読んでいるうちにムラムラと欲しくなってきた。
もちろん、私はそんなおしゃれなマネがしたい訳ではない。
私が考えたのは、畑の虫よけに使えるのではないか、ということだ。
虫は野菜の最大の敵だ。
こいつらをやっつけるために四苦八苦している。
木酢液だのストチュウだのニンニクだのトウガラシだの、
これらは虫が嫌うものかもしれないが、虫を退治するわけではない。
あくまで虫よけだ。
かといって農薬は高いし、扱いが難しい。
わずかばかりの趣味の畑だ。
そこは手数で乗り越えたい。
そこでこのハッカエキス。
ご存じのように、一番の特徴は、す~ だ。
季節は秋、場所は外、そして虫たちは裸だ。
このハッカ液を噴霧したら、やつらは寒くてたまらないに違いない。
ボディソープだと思ったらトニックシャンプーだった、
という経験は誰にでもあるだろう。
アレは驚くほど寒いものだ。
虫にとって寒さほど効果のある攻撃があるだろうか。
しかも原料が植物。
天然素材で食用にも使われるぐらいなのだから、
人体や野菜に悪い影響があるはずがない。
これはひょっとしたらものすごい発見なのではないか。
日本の農業を立て直すほどの巨大プロジェクトに発展するのではないか!
ひとビン、およそ800円。
それを発見してから数か月。
いまだに購入していない。
本当にそんな効果があるとしたら、
この菜園ブームの昨今、誰も気づいてないはずがないんじゃないか。
それに、ポイントカードも持たずにこんな買い物をしたら、
ちづるに身ぐるみはがされ、夜の外に放り出され、
「寒い~、入れて~」
と泣く羽目になるんじゃないだろうか。

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